2013 Fiscal Year Research-status Report
幼保一体化施設における子どもの育ちを支える保育の質と構造に関する研究
Project/Area Number |
25381098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
高嶋 景子 田園調布学園大学, その他部局等, 准教授 (90369463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安村 清美 田園調布学園大学, その他部局等, 教授 (00158007)
松山 洋平 田園調布学園大学, その他部局等, 講師 (00586422)
三谷 大紀 関東学院大学, 人間環境学部, 講師 (40458609)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幼保一体化 / 保育の質 / 構造 |
Research Abstract |
本研究では、子どもたちの豊かな育ちを支えるための幼保一体型の保育施設における保育の「質」とそれを支える「構造」を明らかにすることを目的としている。子ども子育て支援新制度の推進により、多様なニーズを抱える保護者に柔軟に応えようとする枠組み作りが進んでいるものの、長時間保育や短時間保育など多様な保育時間を必要とする子どもが同じ施設に在籍することにより、実際の保育現場では、保育を運営していく上での様々な制約が生まれ、結果として、子どもにとっての保育の質を保障していくための新たな課題が生じつつある。特に、保育時間の違いにより生活リズムが異なる子どもたちに合わせた保育の形態や保育内容については、多くの幼保一体化施設で試行錯誤しながらの模索が続いているのが実態である。 本研究では、そのような現状を踏まえた上で、敢えて、幼保一体化施設の持つ保育の多重的構造について着目し、それらが、子どもたちの活動や関係の変容とどのようにかかわっているのかを、実際の幼保一体化施設における保育への継続的な参与観察により明らかにしていくことを試みている。第1年目である2013年度は、2つの幼保連携型認定こども園において継続的な参与観察を行い、ビデオ記録の分析および保育カンファレンスを重ねた。その成果については、第2年目(2014年度)に、日本保育学会においてポスター発表(2件)を行う予定である。 また、幼保一体化施設における保育の体制と質の関係を検討していくためのヒアリング調査についても進めており、2013年度は、特徴的な実践を行っていると思われる2園へのヒアリングを実施した。これらについては、2014年度も引き続き数園のヒアリングを行い、それらを総合して保育の質を支えるための体制の在り方についての分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の軸となる幼保一体化施設における子どもの育ちに関する縦断的研究については、2つの園において、それぞれ継続的な参与観察と保育カンファレンスを行っており、データ収集を重ねているところである。分析については、今後、より詳細な分析と、そのための理論的枠組みの検討を行っていく必要があると思われるが、その検討については、今後の検討課題となると思われる。 また、保育の体制と質に関する検討を行うためのヒアリング調査についても、まだ2園に留まっているため、今後、さらに調査対象園の選定とヒアリングの実施およびそれらの結果の分析が必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
幼保一体化施設における子どもたちの育ちに関する縦断的研究については、参与観察によるデータは順調に蓄積されつつあるため、今後、さらなるデータ収集と、その分析のための理論的枠組みの構築を行っていくこととする。特に、幼保一体化施設の持つ多重的な構造に着目し、そこで生まれてくる子どもたちの育ちを分析していくために、子どもの育ちを社会・文化的な関係構造の網の目のなかで捉える社会文化論的アプローチに依拠しながら、そうした多層的なコミュニティを行きつ戻りつしながら生まれてくる発達や学習を描き出すための鍵概念として、エンゲストロムやバフチンの理論を援用しつつ、新たな理論的枠組みの構築を目指す。 さらに、これらの具体的な実践を通して、幼保一体化施設ならではの子どもの育ちと、それを支える保育の質と構造について検討していく。またそれにより、「養護」と「教育」とが一体となったエデュケアとしての「保育」の内実についても示唆を得たいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・ヒアリング調査を予定していた園のうちの一つの調査日程が次年度へ変更となったため、その旅費交通費分が繰り越しとなった。 ・ヒアリング調査を行った時期が年度末となり、そのヒアリングデータの整理が年度内に間に合わなかったため、そのために予定していた費用(テープ起こしの謝金等)も次年度へ繰り越すこととした。 ・ビデオ記録によるデータの収集・整理・分析のためのビデオカメラとDVDレコーダー ・保育カンファレンスのためのモバイルプロジェクター ・ヒアリング調査のための旅費交通費、ICレコーダー ・研究成果発表のための学会参加・旅費交通費 等
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