2015 Fiscal Year Annual Research Report
実践科学としての保育学の成立過程:幼小接続、幼保一体化のエイジェント分析
Project/Area Number |
25381099
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
無藤 隆 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (40111562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 益治 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (50330147)
齊藤 多江子 こども教育宝仙大学, こども教育学部, 准教授 (80399229)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文部科学省 / 厚生労働省 / 幼小接続 / 幼保一体化 / 幼保一元化 / 協同的学び / 保育学 / 実践科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育・幼児教育を巡る施策の過去25年間の進展を、そこに主にかかわった主体(エイジェント)と、そこでの主たる概念(アイディア)の経緯を視点として分析することであった。3つの実践的テーマ(①幼保の一元化・一体化、②幼保と小学校の連携・接続、③「協同的学び」の実践のあり方[②と連動するもの])を取り上げた。中央省庁と関係諸団体や先進的実践園、また主導する研究者たちの報告や発言を公刊資料により検討した。平成25年度・26年度に収集した資料を、27年度は一部補足しつつ、相互に連関して発展していく年譜スタイルの資料として記述し、分析した。 その結果、幼保一体化については、①進展は、大きく3期に分けられること、②エイジェントは、第1期が「地方分権推進法の成立」、第2期の前半が「規制改革推進計画の改定」、後半が「総合施設に関する合同の検討会議」、第3期が「子ども・子育て新システム検討会議」であることが明らかになった。幼保と小学校の連携・接続とそれに連動する「協同的学び」の実践のあり方の進展にかかるアイディアは、「連続性」「接続期」「芽生え」の3つであることが示された。「連続性」は、昭和46年の中教審答申の「教育の連続性」から始まり、その後の答申や指導資料に、「接続期」は、国立大学附属幼稚園の研究において始まり、文部科学省の報告の内容に、「学びの芽生え」は、中教審・幼児教育部会における研究者の提言に始まり、その後、芽生えが小学校以降の生活や学習の基盤をつくるという言及につながっていた。「協同性・協同的な学び」については、国立附属幼稚園での実践研究を足がかりにして、研究者の動きや実践者への広がりに連動しつつ、文科省が取り上げた過程が見られた。 本研究で用いられた分析方法や、エイジェントやアイディアといった切り口は、幼保をめぐる政策科学の確立に寄与することが示唆された。
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