2013 Fiscal Year Research-status Report
児童虐待防止における保育所と関係機関の協働の分析と専門職連携教育プログラムの開発
Project/Area Number |
25381106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
笠原 正洋 中村学園大学, 教育学部, 教授 (10231250)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 児童虐待防止 / 保育士 / 協働 / プログラム作成 |
Research Abstract |
平成25年度の研究目的は,保育所と関係機関との間の協働の問題とそれぞれの役割遂行能力を概念化することである。まず協働上の問題を包括的に分析するためにインターネット上で公表されている75の児童虐待死亡または重大事例検証報告書から95家族104事例(きょうだい児9事例を含む)を抽出し,そのうち保育所在籍22事例(37.3%)及び在籍が可能だったが未入所だった37事例(63.7%)の計59事例を詳細に検討した(調査I)。その結果,保育所在籍の22事例中18事例(30.5%)において協働上の問題が言及されている一方,保育所を利用していれば虐待を防止できた可能性があった37事例中32事例(54.2%)において,保育所利用を勧奨する提言がなされていなかった。つまり保育所を関係機関のひとつとして活用する視点が乏しいことと保育所がさらに克服すべき課題が示唆された。また福祉事務所の虐待防止担当職員2名,児童相談所児童福祉司1名を対象に保育所との協働上の問題を半構造化面接により整理した(調査II,それぞれ九州心理学会,日本発達心理学会で報告)。以上の研究をふまえて,児童虐待防止における協働,すなわち専門職連携実践(IPW)で要求される能力を概念化し,保育士側の役割遂行能力尺度項目19項目及び関係者・関係機関の役割遂行能力尺度19項目を作成した。 さらに,児童虐待防止において関係機関との協働を視野に入れた専門職連携実践の教育・研修プログラムをより精緻化するために,現在準備を進めているコンテンツを予備的に実施し,その進行に伴う初心者(保育者志望学生)の不安内容の変化を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,平成25年度中に実施予定だった調査IIIの実施が遅れた。調査を依頼した団体(A市保育協会)の審査が遅れたためである。この調査は,平成26年6月に実施することになった。保育士を対象にした質問紙調査により協働上の問題の実態把握を行うと同時に,協働の達成感や困難間に役割遂行能力の何が影響をあたるのかを探索的に検討する。対象は,A市保育協会に加盟する民間認可保育所である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度実施予定の調査を平成26年度中に実施する。また平成26年度に実施予定であった調査IVをB地区保育協会加盟認可保育所にも実施する予定であり,調査IIIで作成・検討した尺度を精緻化し,児童虐待防止における協働の達成感の規定因を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に実施する予定の調査IIIに係る経費である。調査I・IIをふまえて,児童虐待防止における専門職連携実践(IPW)で要求される能力の評価尺度の作成が遅れた。そのため調査IIIの準備とA市保育協会への調査実施依頼が2月にずれ込んでしまった。調査票の回収率を上げるためには,平成26年度に実施した方がよいと判断した。 平成25年度に実施予定だった調査IIIの実施許可もすでに終わり,調査準備を終えて平成26年6月に実施予定である。
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