2015 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待防止における保育所と関係機関の協働の分析と専門職連携教育プログラムの開発
Project/Area Number |
25381106
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
笠原 正洋 中村学園大学, 教育学部, 教授 (10231250)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 児童虐待防止 / 保育所(園) / 専門職連携実践 / 専門職連携教育プログラム / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,児童虐待防止に関する保育所と関係機関との専門職連携実践(IPW)の評価の規定因を再検討し,それに基づく専門職連携教育(IPE)に関するプログラムのコンテンツを整備しその効果を検証した。IPWの文献レビューを行い平成26年度に実施した調査を改定し,平成27年度は,組織要因,システム要因,対人関係要因が協働の評価に及ぼす影響を検討した。九州内2か所の保育協会の許可を得て加盟園309園の児童虐待防止担当者を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。192園(62.1%)から回答があり189事例の回答が得られた。共分散構造分析と階層的重回帰分析により,対人関係要因の支援者態度因子が一貫して協働の評価に有意な影響を及ぼしていた。また,組織要因の協働マネジメント因子が協働の評価を高めることも認められ,これまでの研究知見を支持する結果が確認された。これに基づきIPEプログラムのコンテンツを整備した。 現職保育士を対象にこのIPEプログラムを2回実施し(n=111,124),90%以上の参加者が有用であると評価した。次に,保育士養成校学生を対象に,IPW体験群(関係機関の講師による模擬ケース討議)群(n=62),IPWの紹介型研修(関係機関の講師によるIPW紹介)群(n=58),通常講義群(n=116)に分け,事前事後デザインにより,虐待対応不安得点と虐待防止の知識・理解テストを比較した。その結果,不安や知識・理解テスト成績にも2つのIPW群の効果は認められなかった。さらに児童虐待防止活動自己効力感尺度に対するIPEプログラム(n=96)と虐待防止活動包括プログラム(H22-24,科研により作成,n=95)の効果を事前事後デザインにより検証したところ,IPEプログラムの効果は認められなかった。すなわちIPEプログラムの有用性は評価されても実質的な効果は確認されなかった。
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