2013 Fiscal Year Research-status Report
電子化の時代における大学図書館間の資源格差とその推移に関する研究
Project/Area Number |
25381126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
長谷川 哲也 静岡大学, 教育学部, 講師 (90631854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 良 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50432282)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大学図書館 / 電子化 / 格差 |
Research Abstract |
本研究の目的は,資料の電子化への対応が迫られる今日の大学図書館における,図書館資源の格差の実態とその変動を明らかにすることであり,特に平成25年度は,量的手法(二次分析)により電子ジャーナルや冊子体等の図書館資源の格差を検討した。 分析には,日本図書館協会が毎年発行している『日本の図書館―統計と名簿』(電子媒体版)を利用し,独立法人化以降(2004年度~2011年度)における国立大学の図書費,雑誌費,電子ジャーナル費に関して,「大学間格差」(個別大学間の不均等度)と,「大学階層間格差」(群間の開き)を明らかにした。主な知見は次の二点である。 第一に,電子ジャーナル費では大学図書館間の不均等度(大学間格差)は縮小しているものの,階層間格差はむしろ拡がっている。これまでの図書館研究では,電子ジャーナルの購読形態によって大学階層間格差が縮小すると考えられてきただけに,重要な知見である。第二に,雑誌費では大学図書館間の不均等度(大学間格差)が大きくなり,さらに階層間格差が拡大するという,深刻な事態が生じている。「電子化」の背後で進むこれら図書資料費の「格差化」にいかに向き合うかが,大学図書館の今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度と平成26年度は,大学図書館間における資源投入の格差に関する二次分析をおこなう計画であり,本年度は特に,『日本の図書館―統計と名簿』をもとにして国立大学における大学間格差・大学階層間格差の実態を明らかにした。その知見を,学会報告(日本教育社会学会第65回大会)および論文投稿(『教育社会学研究』第94集)にて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,『日本の図書館―統計と名簿』をもとにして国立大学の格差分析をおこなったが,同資料には公立・私立大学のデータも掲載されているため,今後は国公私立大学を比較することで,設置者別の格差の実態を明らかにしたい。また,文部科学省が毎年実施している「学術情報基盤実態調査」では,継続的に各大学の図書館資源を悉皆調査しているため,このデータの個票公開を求めることで,より詳細な格差の実態を分析したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,『日本の図書館―統計と名簿』という既存のデータの二次分析を中心におこなったため,「学術情報基盤実態調査」のデータ入手やアルバイトによる入力作業等にかかる費用が当初予定額より少なくなった。 次年度は,本年度使用しなかった経費を,「学術情報基盤実態調査」のデータ入手やアルバイトによる入力作業等に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)