2016 Fiscal Year Research-status Report
電子化の時代における大学図書館間の資源格差とその推移に関する研究
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25381126
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
長谷川 哲也 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90631854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 良 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (50432282)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大学図書館 / 図書館資料 / 電子化 / 格差 / 教育 / 職員・司書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,図書館資料の電子化と,それに伴う経費削減が迫られる大学図書館における格差の実態およびその変動を明らかにすることである。これまで本研究では,日本図書館協会が発行している『日本の図書館―統計と名簿』に掲載されているデータをもとに,主に国立大学の図書館資料費(図書費・雑誌費・EJ費)について,大学間・大学間格差を分析してきた。 本年度は,これまでの分析枠組みを援用しながら,公立図書館の図書館資料費をめぐる大学間・大学階層間格差の分析を行い,その研究成果を『日本図書館情報学会誌』62(4)に投稿して掲載された。 さらに本年度は,大学図書館の「教育」機能に着目し,同じく『日本の図書館―統計と名簿』に掲載されているデータをもとに,国立大学図書館における職員・司書の推移について分析した。その結果,①大学図書館の職員と司書の全体的な傾向として,その非正規化が進んでいること,②職員数と司書数の大学間格差はほぼ変化がない,あるいは非正規採用の司書数において微減傾向が認められること,③職員と司書のそれぞれ総数における大学階層間格差はほとんど変化していないが,いずれも正規/非正規の雇用形態別にみると,格差は拡大していることが明らかとなった。この研究成果は,日本教育社会学会第68回大会で報告した。加えて本年度は,国立大学の図書館資料費の変動について社会学的視点からさらに分析を精緻化し,第64回日本図書館情報学会研究大会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,大学図書館における格差の実態およびその変動を明らかにすることであり,「国立/公立」大学図書館の「図書館資料費/職員・司書」について,大学間・大学階層間格差を分析する。具体的には,①国立大学図書館の図書館資料費,②公立大学図書館の図書館資料費,③国立大学図書館の職員・司書,④公立大学図書館の職員・司書について検討する。 本研究ではこれまで,日本図書館協会が発行している『日本の図書館―統計と名簿』に掲載されているデータをもとに,国立・公立大学図書館の図書館資料費(図書費・雑誌費・EJ費)をめぐる大学間・大学階層間格差の分析を行い,その研究成果を『教育社会学研究』および『日本図書館情報学会誌』に投稿し,掲載された。 本年度はさらに,同じく『日本の図書館―統計と名簿』に掲載されているデータをもとに,大学図書館の「教育」機能に着目し,国立大学図書館における職員・司書の推移について分析し,その成果を日本教育社会学会第68回大会で報告した。また,公立大学図書館における職員・司書の推移についても分析を進めつつある。加えて,大学図書館と公共図書館との比較という観点についても先行研究を検討するとともに,『日本の図書館―統計と名簿』に掲載されている公立図書館のデータを分析している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成28年度が最終年度であったが,データの分析によって多くの研究成果が得られたことから,その研究成果の精緻化および学会等での発表・論文投稿などにさらに時間を要するため,平成29年度まで研究を延長させた。 次年度は,これまで分析を進めてきた国立大学図書館における職員・司書の推移に関する研究成果を図書館関連の学会誌に投稿するほか,引き続き『日本の図書館―統計と名簿」に掲載されているデータをもとに,公立大学図書館における職員・司書の推移に着目した分析や,大学図書館と公共図書館との比較といった観点からの分析を行う予定である。 さらに,これまでのマクロデータの分析結果やプレ調査の結果等を踏まえながら,個別大学図書館への聞き取り調査を進め,図書館資料費の大学間・大学階層間格差の実態や,大学図書館の「教育」機能について,具体的な状況を把握する。
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Causes of Carryover |
本年度は,『日本の図書館―統計と名簿』のデータ整理,および大学図書館と公共図書館に関するデータ入力が当初の予定よりも少ない件数であったため,アルバイトへの謝金が少額となった。また,研究期間を1年延長することから,次年度の研究会や学会発表等の旅費,および個別大学図書館への聞き取り調査の旅費を繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,引き続き大学図書館および公共図書館に関するデータ入力,これまでの研究成果に関する資料の整理等に係るアルバイトの作業が発生するため,繰り越した謝金を使用する。また,研究会や学会発表,個別大学図書館への聞き取り調査などを進めることから,繰り越した旅費を使用する。
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Research Products
(3 results)