2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25381138
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
苑 復傑 放送大学, 教養学部, 教授 (80249929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 ウェン 日本工業大学, 工学部, 准教授 (40438817) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際化・国際協力 / 国際合作 / 留学生 / 学術人材誘致 / 合弁大学 / 国際連合実験室 / 孔子学院 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国は2000年代に入って、高等教育の国際協力「国際合作」が政策的に強力に推進してきた。この研究はその政策の展開と成果、問題点を、留学生の派遣と受入れ、外国との合弁大学、学術人材の誘致、国際協力による研究組織「合作連合実験室」、海外での「孔子学院」の運営などについて実証的に調査、分析したものである。 その結果、得られた知見は以下の点に整理できる。留学生交流の数量的側面からみれば、2015年の留学生の派遣総数は52.7万人で、前年より13.9%の増加となった。他方で帰国者は40.91万人で、前年より12.1%の増加であった。受入れは39.76万人に達しており、前年より3657人の増加で、その内10.2%は中国政府奨学金を受けている。合弁大学につては、現在7校、1116のプログラムが運営されており、7校の卒業生の学習満足度と就職率とも、9割以上の高い水準に達している。③人材誘致については「長江学者計画」、「特別招へい教授」に加え、より待遇の良い「千人計画」に、海外の科学技術関係の華人研究者が殺到している。④孔子学院は北米地域での摩擦と批判もある中、世界に400校まで規模を拡大した。 しかし他方で、このような形での発展には問題も生じてきている。例えば政治的な摩擦を背景に、日中間の留学生数の減少及び国際会議、学術教育交流が減少してきた。また米国を始めとした先進工業国からの先端科学技術の中国への提供に制限がつけられるようになり、在米中国人研究者の拘留事件等も起こっている。また国内に目を向けると、「反腐敗運動」と連動して、西洋価値観への批判、言論の統制、党の指導力の強化等のために、大学間の国際交流・協力に問題も生じている。 こうした事態を鑑みると、一方的な国際協力の押し付は、様々な軋轢を生じさせている。こうした意味で、中国の高等教育の国際化はいま重要な岐路に立っていると言える。
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Research Products
(11 results)