2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the High School Dropout in Japan; The Process of Social Exclusion and Inclusion
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25381140
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
酒井 朗 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (90211929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 亨 千葉大学, 教育学部, 教授 (30173579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高校中退 / 私立通信制高校 / 学校文化 / 教育の市場化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の研究計画を1年延長し、2000年以降に見られる高校中退の減少の背景として、私立通信制高校の急速な拡大に注目した。少子化に伴って、高校の学校数は1990年から2015年までの間に大幅に縮小したが、その中で私立通信制高校だけが拡大してきた。私立通信制高校は、各自治体の高校中退対策と並行して、原籍校を辞めた生徒に対して有力な転学先を提供してきた。また、私立通信制高校は、これまで高校教育が排除してきた若者文化の要素を積極的に取り込むことで、「主流の学校文化」と「対抗文化としての生徒文化」という構図を揺らがせている。 私立通信制高校の拡大は、教育の市場化が、学校不適応の生徒に対しても新たな選択肢を提供していることを示している。つまり、現在の新自由主義的な教育改革の流れは、競争的な環境下に学校制度を置き、卓越性の追求を推し進めるとともに、従来の学校教育に適応できずにいた人々に対して新たな教育サービスを提供し社会的包摂の機能も果たしている。それは、卓越性の追求と社会的包摂との同時達成を果たしている。 ただし、それはあくまで民間主導の市場原理に基づく改革であり、多額の学費の負担を保護者と生徒に課すこととなっている。きわめて商業化された形で展開している私立通信制高校の取り組みは、各自治体の教育委員会や公立高校の取り組みとは大きく異なっており、本年度はその意義と課題について検討した。調査結果の一端は、2016年6月に北京師範大学で開催された第3回北京師範大学教育社会学フォーラムや2016年9月に開催された日本教育社会学会第68回大会でも報告した。
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Research Products
(4 results)