2016 Fiscal Year Research-status Report
発達障害傾向で就業困難が予測される学生に対する診断によらない支援研究
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25381147
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Research Institution | Aichi Toho University |
Principal Investigator |
肥田 幸子 愛知東邦大学, 人間健康学部, 教授 (90465592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 篤実 愛知東邦大学, 教育学部, 教授 (10320962)
鈴木 美樹江 人間環境大学, 人間環境学部, 講師 (20536081)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 見通し力 / 学生支援 / 就業力 / 自閉傾向学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度、肥田・堀・鈴木の共同研究実績としては学術誌への掲載が1点と学会発表が3点あり、肥田個人の関連研究として、本が1冊(共著)、紀要論文が2点あげられる。詳細は後述の雑誌論文、学会発表欄に記す。 平成28年度の研究活動としては、26年から継続して実施している尺度研究があげられる。「見通し力」尺度は26年に一応の完成をみて、それを27年8月に発表した。平成28年度は27年度より着手している「ASD傾向学生のための就業力尺度」の作成・発表が主な課題であった。27年度の実施した障害者就労移行支援事業所や愛知県新卒応援ハローワークのインタビューから項目を作成し、学生約200名に2回のアンケート調査を実施した。28年度はそれを分析し、項目の信頼性、旧来の就業力尺度(若林,1983)との基準関連妥当性、再検査信頼性とASD傾向学生のための見通し力尺度がASD傾向学生のための就業力尺度に及ぼす影響を明らかにした構成概念妥当性が証明できた。その結果を28年10月の日本教育心理学会において発表することができた。 これらの尺度の活用を実際の学生に実施し、検討を進めている。またこれらの尺度を愛知県新卒ハローワークや瀬戸少年院において実施してもらえるように活動している。 28年度中に8回の研究会を実施し、共同研究者たちとの情報の確認、共同研究作業の新展開を模索した。 現在、同県T大学から本研究についての問い合わせがあり、共同展開が行われる可能性を探っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「見通し力尺度」と「ASD傾向学生のための就業力尺度」は一応の完成をみたといえる。これら二つの尺度の関連性とどのように融合させると何が見えるのかの分析が現在進んでいる。また、現在支援を行っている学生・卒業生の「見通し力尺度」「就業力尺度」の個別のデータがあるため、それがどのように具体的な支援に生かせるかを検討中である。 全体の学生をスクリーニングすることで要支援の学生が特定することができる。ただ、まだ就職活動に入っていないために危機感を感じていない1,2年生の学生に対し、どのように具体的なアプローチをしていったら、就業力の向上につながるのかを現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は1年間研究活動を延長してもらっている。やはり、要支援学生に対してどのようなアプローチをしていけば彼らの就業力の向上につながるのかという具体的支援の開発が最も難しい。アルバイト先との連携を模索しているが、ASD傾向学生は対人関係力も弱く、アルバイトを敬遠する学生も少なくない。アルバイトに踏み出すまでのもうワンステップの活動場所が彼らには必要なのではないだろうか。今後はその点にも考慮しながら、ハローワーク等の外部機関とも連携を取り進めていく。
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Causes of Carryover |
28年度中に終了するはずだった研究期間を1年延長している。「見通し力」尺度を社会的に活用できるのではないかという可能性や大学内での実践の幅が広まってきたためである。そのため、最終的な研究成果の発表予算が次年度に使用される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しい知見を含めた研究成果の発表を29年度に行う。論文発表、学会発表、報告書の作成、そのための会議費、公的機関への出張費等に使用する。
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