2014 Fiscal Year Research-status Report
少子高齢化地域の存続と小規模学校の継続可能性についての総合的研究
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25381150
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
中島 勝住 京都精華大学, 人文学部, 教授 (00172320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 宏次 京都精華大学, 人文学部, 教授 (50554333)
OUSSOUBY Sacko 京都精華大学, 人文学部, 教授 (70340510)
中島 智子 プール学院大学, 国際文化学部, 名誉教授 (80227793) [Withdrawn]
四方 利明 立命館大学, 経済学部, 教授 (90340489)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小規模学校 / 学校統廃合 / 地域継続と学校 / 少人数教育 / 複式授業 / IターンとUターン |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の研究会活動は、定例の研究会の他に、7月より研究協力者も含めた共同研究のベースを確立するために資料やデータの共有を目的とする勉強会を都合7回実施したこともあり、従来の各テーマによる報告を主とする研究会と合わせて14回の実施となった。中でも、12月の研究会での韓国公州大学のヤン・ピョンチャン教授による「韓国における小さな学校運動」についての報告、2015年2月の研究会での大阪市立大学横山俊祐教授(建築学)による「小学校統廃合の実態と課題、小規模校の特性、地域と学校の連携、小規模性を活用・克服する学校間連携」についての報告は、日本における小規模学校の意味と可能性を考える上で意義深いものであった。また日本以外の国や異分野において同様なテーマを探求する研究者との交流の中で、本テーマが地域的拡がりを持つものであること、学際的領域であることを再認識することができた。 調査としては、5月18日大阪朝鮮高級学校調査、5月24-26日和歌山那智勝浦色川地区での住民への聞き取り調査、7月5日大阪朝鮮第4初級学校調査、8月28日-9月5日豪メルボルンにおける学校統廃合実態調査、9月12日四国朝鮮初中級学校調査、11月13-14日滋賀県沖島小学校で開催された近畿へき地教育研究大会滋賀大会への参加、2015年2月27日和歌山朝鮮初中級学校調査、3月1-6日色川小・中学校における教育実践調査と教員への聞き取り調査および、小・中学校新築に関する聞き取り調査、3月7-12日屋久島口之永良部島における住民への聞き取り調査、以上を実施した。これらの調査によって、人口減少地域を持続可能にするための要となる学校をいかにして存続させるのか、住民一体となった取り組みや工夫、その考え方を知ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに実施した勉強会における成果として、類似したテーマにおけるこれまでの研究の蓄積を共有することによって、本研究の位置づけと特色を意識化することが可能になった。 継続的に調査をしてきた地域について、とくに、和歌山県那智勝浦町の色川地区における2度の調査において、より広汎に、そしてより目的を絞った調査を実施できた。屋久島町口之永良部島における再調査においても、金岳小・中学校の現在に至る歴史や住民のそれとの関わりなどを多方面から聞き取ることができたのは、予想を超える成果であった。また、朝鮮学校の小規模校化に関する調査では、学校と地域との関わりが必須であったり、親密である地域では、小規模化が進んでも学校の維持を可能にする努力がなされていた。学校の形態に違いはあっても地域と学校の関係を考察する上では大いに参考になる。 メルボルンにおける調査では、大都市における学校統廃合の論理が人口過疎地域におけるそれとは異なることが、国を超えて存在している事実を知ることができ、日本の大都市、あるいはその周辺で起こっている人口減少による学校統廃合の実態を分析する視角を得られた。 以上のような調査や研究会による共同研究の進行によって、最終報告作成に向けた各メンバーによる分担について、徐々にではあるがその具体的なイメージが明確になってきたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
①最終報告の年度内完成を目指し、構成と執筆担当者を決定する。 ②これまでの共同研究の成果の一つである、京都府南山城村調査データの分析を本テーマに即して再度行う。同時に、廃校後10年経った現在の住民意識の変化を知るための補充調査を実施する。 ③和歌山県那智勝浦町色川において、小中学校新設までの教育を継続調査する。同時に、運動会などを通じた住民と学校の関わりについて補充調査を行う。 ④最終報告に向けて、小規模学校と法規等との関連について、その経緯と現状についてまとめる。 ⑤報告書作成に向けて、各国における学校の統廃合、少人数教育について、またとくに複式授業についての理論、調査報告や実態報告をレビューする。
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Causes of Carryover |
海外調査地として当初フィンランドを予定していたが、事情によりオーストラリアメルボルンに変更し、調査担当者も当初予定よりも減じることにしたため、次年度使用額が生じた。しかし、色川調査を二回実施したことによって海外調査地変更にともない予想された次年度使用額は縮小した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に予定している色川における補充調査、南山城における補充調査に充てる予定である。
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Research Products
(10 results)