2014 Fiscal Year Research-status Report
「言語活動」を生かし「PISA型言語力」を育てるための教育方法に関する臨床的研究
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25381161
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
阿部 昇 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (80323129)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PISA / 言語活動 / アクティブラーニング / 学習集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「PISA型言語力」の解明(教科内容の解明)と、それを有効に子どもに身につけさせる教育方法についての解明を行うことである。 26年度は、25年度に行った「PISA型言語力」についての系統試案の作成をさらに進めた。特に国語の説明的文章分野と物語・小説分野に関わる試案を作成し検討を行った。それは『国語力をつける物語・小説の「読み」の授業』(阿部昇著、2015、明治図書)などで発表した。 また、「言語活動」の中でも、特に学び合いや学習集団を重視した教育方法について検討を行った。子ども相互の学び合いを生かす秋田県の「探究型授業」や全国各地の「問題解決型授業」さらには海外の授業実践も検討しながら、新しい教育方法の解明を進めた。 26年度は、「PISA読解力」に関わる教科内容と教育方法を重視していると思われる授業実践事例の収集につとめた。国内では、広島県、高知県、秋田県はじめ全国各地の小中学校を訪問し「PISA型言語力」に繋がると思われる「国語」「数学」等の授業事例を収集した。特に秋田県については、秋田県検証改善委員会委員長として多くの小中学校を訪問し、事前研究の取り組みも含め情報収集を行った。また、秋田大学教育文化学部附属小学校・附属中学校の事例も多く収集した。海外では、フィンランド、大韓民国、中華人民共和国を訪問し、「PISA型言語力」に繋がると思われる「母国語と文学」「国語」「数学」等の授業事例を収集した。それらの事例については、現在分析中である。 学習指導要領が意識しているPISA学力の具体がより明確になってきている。また「言語活動」さらには「アクティブラーニング」といった教育方法がねらうものについても、かなり具体的な成果が生まれつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は、25年度までに行った「PISA言語力」の系統試案の作成をさらに進めること、「言語活動」でも特に学び合いや学習集団を生かした実践事例を収集し分析・検討を行うこと、それに基づきPISA型言語力」を育てるための教育方法の提案を行うことをめざした。 (1)「PISA言語力」の系統試案の作成については順調に進み、複数の著作・論文でそれを発表した。(阿部昇『国語力をつける物語・小説の「読み」の授業―PISA読解力を超えるあたらしい授業の提案』2015、明治図書など) (2)「言語活動」でも特に学び合いを生かした実践事例を収集し分析・検討を行うことについては、国内では広島県、秋田県はじめとする全国各地で収集を行うことができた。秋田県では多くの公立小中学校および秋田大学教育文化学部附属小学校・附属中学校での収集ができた。特に事前研究・事後研究を含む取材を行った。海外では、フィンランド、大韓民国、中華人民共和国で収集を行うことができた。各国の小中学校の「母国語と文学」「国語」「中文」、「数学」などの授業である。それらの分析・検討はかなり進んでいる。これからもその分析・検討は進めていく。 (3)「PISA型言語力」を育てるための教育方法の提案については、上記(2)の分析・検討の中で進んできた。これについても複数の著作・論文で発表している。(阿部昇編著『授業で子どもに必ず身につけさせたい「国語の力」』(2014、学文社など)
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Strategy for Future Research Activity |
25年度・26年度の研究に基づいて「PISA型言語力」を育てるための授業を、さらに全国の小中高の教師に実践してもらい、それらの有効性を臨床的に検証する。また、研究を総括し、学会、研究誌等に発表をする。 (1)小中高の教員による研究授業実施――26年度までに構築した「PISA型言語力」に関わる教科内容案・教育方法案にもとづいて、教材選定→指導過程→授業素案までを構築する。授業素案では、グループを使う際の―①グループの人数、②グループ編成の仕方、③司会への指導、④どういう課題が適切か、⑤話し合いの時間、⑥グループへの助言のあり方、⑦グループと全体の話し合いの関係性―などに留意する。そして、全国の小中高の教員に研究授業をしてもらう。最終的な授業展開過程は、実際に授業を実施してもらう教員と阿部が共同研究をしながら、構築していく。教材は、できるだけ教科書教材を生かしていく。ただし、同時に新たな教材開発も行う。これらは、「国語」の提案が中心となるが、「算数」「数学」さらには教科横断的な授業提案も行う予定である。 (2)授業の分析・検討と教育方法の更新――上記(1)の授業の分析・検討を行う。分析・検討は授業参観後に実践者と阿部とでまず行う。その際に同校の先生にも参加してもらう。また、ビデオを大学に持ち帰りさらに分析・検討を重ねる。そして、それらにもとづき、「言語活動」を生かして「PISA型言語力」を育てるための教育方法を完成させていく。 (3)3年間の研究成果の総括――3年間行ってきた①学力調査の検討 ②学習指導要領の検討 ③「言語力」に関する教科相関の研究 ④「PISA型言語力」に関する系統試案作成 ⑤「学び合い」を生かして「PISA型言語力」を育てている実践事例の分析・検討 ⑥「学び合い」を生かして「PISA型言語力」を育てるための教育方法の提案 ⑦小中高での授業研究―を総括していく。
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Causes of Carryover |
予定の書籍が入手できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、書籍購入にあてる。
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