2013 Fiscal Year Research-status Report
中学校社会科歴史的分野における世界史内容に関する歴史的研究
Project/Area Number |
25381175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
茨木 智志 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (30324023)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中学校社会科歴史的分野 / 世界史教育 / 世界史内容 / 歴史教科書 / 自国史と世界史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中学校社会科歴史的分野における世界史内容がいかなる意味と課題を持ったものであるかを歴史的に解明することにある。そのため、中学校社会科の発足時から現在までの学習指導要領、教科書、教育理論、授業実践等を対象として、その中の世界史に関わる内容の形成、発展、変容、現状等を分析することで、中学校社会科歴史的分野における世界史内容の意味と課題を明らかにすることを目指している。 研究初年度である2013年度においては、中学校社会科歴史的分野の教育の歴史的な展開に関わる全体的な枠組みの設定に対する検討、および1940年代後半から1950年代にかけての時期を中心とした中学校社会科歴史的分野の世界史内容に関わる各種資料の収集と分析を実施した。 その結果、約1000冊の中学校社会科の教科書の発行状況を確認し、戦後教育の中の中学校社会科教育の動向や、戦後の世界史教育史における中学校社会科教育での世界史内容の性格を捉える視点を一定程度設定することができた。この中の教科書発行状況および戦後中学校の社会科教育における世界史内容の持つ性格の概要については、次年度に報告することを予定している。 さらに、1940年代後半から1950年代にかけての中学校社会科の世界史内容について、教科書を中心に各種資料の収集を進め、分析を継続してきた。この時期は歴史的分野が形成される過程に当たる。日本史(国史)として出発点した中学社会科の歴史教育が歴史的分野に性格を改めていく点を教科書等から追跡した。そして、この時期に中学校教育を受け、後に中学・高校で社会科を担当した人物に聞き取り調査を実施し、そのまとめを報告した。加えて、この時期の中学校社会科の世界史内容に影響を及ぼしていた歴史研究や歴史教育、なかでも当時において先行して検討が進められていた高校世界史教育をめぐる状況については、得られた知見を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度においては、中学校社会科歴史的分野の教育の歴史的な展開に関わる全体的な枠組みの設定に対する検討、および1940年代後半から1950年代にかけての時期を中心とした中学校社会科歴史的分野の世界史内容に関わる各種資料の収集と分析を予定した。いまだ完成していない部分はあるが、上記の「研究実績の概要」で記したように、成果の一部は報告もしくは報告予定にあるため、一定程度の達成がなされたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度の研究においては、研究対象の時期を1960年代以降の中学校社会科歴史的分野に移行していくことを予定している。その際に、授業実践に関わる資料収集が課題となる。各地の実践報告等の収集に努めるとともに、前年度のように聞き取り調査を継続して、その成果を活用する。また、資料としての教科書の収集について、教科書現物の収集が難しい時期になるため、各種図書館での調査や複写による情報収集を多用する。さらに、実証的な教育史研究の成果が乏しい時期になるため、1960年代以降の中学校教育、社会科教育、歴史教育、教科書制度など本研究に関わる一般的な教育史に対しても、可能な限り同時並行的に検討を加える必要がある。このような方策により上記目的の達成に努めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
過去の中学校社会科教科書の収集について予定通りに進めることができなかったため、次年度使用額が生じる結果となった。その理由は、資料の性格から可能な限り供給本の教科書現物の購入による収集購入に努力したが、供給本の教科書現物の購入だけでは収集が難しかったことによる。そのため、年度途中から収集の対象を見本本にも対象を拡大したが、年度内では予定を満たすことはできなかった。 次年度使用額を含めた使用計画として検討している具体的な方策は次の通り。中学校社会科教科書の収集対象を見本本に拡大することに加えて、各種図書館での現物調査による情報の収集と複写による収集に取り組む。
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Research Products
(3 results)