2014 Fiscal Year Research-status Report
対話を活性化する比較鑑賞題材の開発と授業モデルの確立
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25381196
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
泉谷 淑夫 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30263552)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 比較鑑賞 / 対照作の比較 / 類似作の比較 / 造形的アプローチ / 製作意図 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.比較鑑賞のための図版資料やデータの収集と作品調査 図版資料として活用可能な大判複製画の収集は順調に進んでいる。また図版データの収 集と作品調査も順調で、それらをどう組み合わせて、どう生かすかを検討中である。 2.比較鑑賞の題材開発 大判複製画を使った比較鑑賞題材を4種開発することができた。それぞれカラヴァッジョ、ルーベンス、ラ・トゥール、ベックリンの代表作と同一作家によるその類似作を 比較するものである。授業実践は平成27年度を予定している。 3.大学における比較鑑賞の授業実践 教育学部の必修専門科目である『美術鑑賞』において、ラ・トゥール、スーラ、マグリット、浮世絵美人画などの作品を題材に、様々な比較鑑賞を試みた。 4.研究論文の執筆 すでに何度も授業実践を重ねてきたフェルメール作品の比較鑑賞に関する論文を執筆し、岡山大学 大学院教育学研究科の研究収録第158号に発表した。題目は『比較鑑賞 で読み解くフェルメールの 造形性』で、A4、18ページ。 5.現場での実践依頼計画と研究協力者の決定年度末の時点で、中学校向けに改定した授業モデルを3種用意し、3人の現場の先生方に授業実践の依頼が済んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大判複製画が大幅に値上がりするという予定外の状況が生じ、予算繰りが厳しくなったため、予定の量には届かなかったが、比較鑑賞に使えそうな資料は一応揃いつつある。それらをもとにした比較鑑賞の題材開発・授業実践も順調に進んでいる。それらの中から3つの題材を取り出し、中学校向けの授業モデルに改訂できたことと、最終年度における現場の授業実践者が確定したことは大きな収穫である。また長年実施し、好評を得てきたフェルメールに関する比較鑑賞の授業実践を、1年遅れではあるが、学術論文としてまとめられたことで一区切りが着いた感がある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では中学校での授業実践を記録するとともに、その分析を行い、現場の研究協力者を交えた形で、当研究の目的である「比較鑑賞によって対話が活性化する」という仮説を検証していかなければならない。その後は学会での研究発表を計画しているが、発表予定の学会の開催次期が例年8月のため、1学期での授業実践をまとめて発表することは、時間的に厳しいので、次年度に発表がずれ込む可能性が出てきている。ただし比較鑑賞の理論、比較鑑賞の題材例、そして中学校での実践記録を合わせた形の冊子の作成は、最終年度中に行う予定である。
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Causes of Carryover |
残額が端数で小額であったため繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品を購入予定。
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