2013 Fiscal Year Research-status Report
21世紀型学力の日米比較による感性・美的判断力を培う美的教育カリキュラム開発
Project/Area Number |
25381200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 和世 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20363004)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、21世紀型学力の日米比較を通して、21世紀に対応する図画工作・美術科のカリキュラムを開発することを目的としており、平成25年度の研究実績としては以下の3点が挙げられる。 1点目は、平成25年12月に全米美術教育学会会長であり、現在、改訂されている新しいナショナル・スタンダードの作成委員であるロバート・セイボル教授を広島大学大学院教育学研究科に招聘して、新しいスタンダードの改訂の経緯やその特徴について情報収集を行い、わが国の図画工作・美術科教育の現状との比較を交えて情報交換を行ったことである。 2点目は、スタンダードの改訂の背景となっている米国の教育政策の最近の動向を調査するとともに、スタンダードに適用されている新しい学習理論について検討を進めたことである。今日、米国では、激しい変化がともなう21世紀に対応するために、21世紀型スキルが、企業、学術団体、政府の協働によって明確化され、生涯を通して芸術理解を深め続けられる資質や能力の育成を目指して、基礎的な知識、技能、理解を踏まえた学習の転移を促すカリキュラムが構築されている。 3点目は、これまで広島県尾道市立瀬戸田小学校で行ってきた子どもの創造性と学習に対する自立性を育てるポートフォリオ評価法の成果と課題について教員との協議を通して検討し、21世紀に対応するカリキュラム開発に向けて、次年度以降の研究の方向性を明らかにしたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国で改訂中の新しいナショナル・スタンダードの趣旨や特徴について、作成委員であるロバート・セイボル教授から直接お話しを伺うことで、文献研究では得ることのできない、実際の改訂の状況やこれから起こり得る最新の研究の方向性など、貴重な情報を得ることができ、今後の本研究の展開について新しい展望を持つことができた。 スタンダードに適用されている学習理論の分析は進んでいるが、新しい学習理論の図画工作・美術科の実際の授業における応用可能性を判断するために必要となる、授業で生じた子どもの質的思考プロセスのさらなる分析を進めることが残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
米国で改訂中の新しいナショナル・スタンダードの完成版は、平成26年6月に公表される予定である。公表された後に、わが国の現在の図画工作・美術科の学習指導要領と、目標、構造、適用されている学習理論などの点において、比較を行う。 上記の比較を通して、わが国の図画工作・美術科の発展のために、どのような点が有意義であり、何が実践可能であるかを明らかにし、小・中学校の教員との共同による実践研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実践研究におけるデータ分析のための謝金が見積もっていた額よりも低額であったため。 次年度以降に継続する実践研究に必要となるデータ分析に使用する。
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