2014 Fiscal Year Research-status Report
算数教育における割合に関する数理構造の理解を促進するメカニズムに関する研究
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25381204
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
坂井 武司 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (30609342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 隆司 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (50452660)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 割合 / 概念的知識 / 手続き的知識 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に構築した割合に関する数理構造の理解を促進する教授法に基づいた単元指導計画(全16時間)を用いて,研究協力校の第5学年の児童を対象に授業実践を行った。この教授法の効果を明らかにするために,2つの数量の関係の把握に関する基礎・基本としての割合に関する知識と2組の数量の関係の比較に関する活用としての割合に関する概念的知識と手続き的知識の3つの知識から捉えることとした。2つの数量の関係の把握に関する基礎・基本としての割合に関する知識について,割合・比較量・基準量を求める3つの状況に関する基本問題を作成し,授業実践の事後に調査を行った。また,2組の数量の関係の比較に関する活用としての割合に関する知識について,平成25年度に開発した割合に関する概念的知識と手続き的知識を測定する尺度を用いて,授業実践の事前・事後に調査を行った。さらに,割合に対する信念と態度について、平成25年度に開発した割合に関する心的要因を測定する尺度を用いて,授業実践の事前・事後に調査を行った。 基本問題に関して,割合・比較量・基準量を求める問題の正答率は,それぞれ94.4%,98.6%,87.5%であり,基礎・基本としての割合に関する知識の獲得に対して,この教授法の効果を明らかにした。また,割合に関する概念的知識と手続き的知識ともに,t検定において事前・事後調査結果に有意な差があり,活用としての割合に関する知識の向上にも,この教授法の効果を明らかにした。さらに,これら3つの知識の関係について重回帰分析を行うと共にパスダイアグラムを作成した結果,割合に関する3つの知識は互いに弱い相関を持ちながら直接的に影響し合っていることを明らかにした。これらの研究の成果は,割合指導の改善につながる実証的研究の成果として意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,次の4点を達成することである。①児童の割合に関する認知を測定する調査問題の開発・実施し,割合に関する数理構造の理解の水準及び段階を明らかにする。②児童の割合に関する心的要因を測定する尺度を開発する。③割合に関する数理構造の理解を促進する教授法の構築・実践を行う。④割合に関する認知と心的要因のメカニズムを明らかにすることを通して,授業改善を図ることである。 現在,①②③については達成しており,④については,割合に関する認知のメカニズムを明らかにすることまで達成しており,割合に関する認知と心的要因のメカニズムを明らかにするためのデータについても,既に調査済みである。したがって,計画通り,順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として次の3点を計画している。①割合に関する心的要因のデータ分析を行い,割合に関する数理構造の理解を促進する教授法の割合に関する心的要因への効果について検証する。②割合に関する認知と心的要因について重回帰分析とパスダイアグラムを作成し,その考察から,割合に関する認知と心的要因のメカニズムを明らかにする。③割合に関する数理構造の理解を促進する教授法の割合に関する心的要因への有効性が検証されなかった場合,その原因を究明し,割合に関する数理構造の理解を促進する教授法の修正を行い,①②の順に研究を推進する。
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Research Products
(4 results)