2014 Fiscal Year Research-status Report
アレクサンダー・テクニークによる発声指導の体系的指導プログラムの開発
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25381211
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
栗栖 由美子 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (30305023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (50145348)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アレクサンダー・テクニーク / 歌唱指導 / 姿勢 / 呼吸法 / バランス / 音色 / 響き |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は,まず,平成25年度にインフルエンザで実施できなかった『アレクサンダー・テクニークを応用した姿勢と呼吸法のための指導プログラムの開発(平成23年度作成)』における指導プログラムの検証を,平成26年11月27日(木),12月2日(火),12月5日(金),大分市内の公立小学校(6年生,24名)において実施し,その検証結果をもとに,指導プログラムの改善を行った。また,アレクサンダー・テクニークにおける「ウィスパード・アー」の取り組みをとおして,音色と響きの観点から分析・検討し,研究論文『アレクサンダー・テクニークにおけるウィスパード・アーの教育的可能性』において,「ウィスパード・アー」から示唆される歌唱指導の方法を提案した。加えて,アレクサダー・テクニークの理念と原理をさらに深めるために,同テクニークの文献の解読をするとともに,15回にわたる講習を受講した。最後に,これまでの研究のまとめとして,平成26年度日本音楽教育学会九州地区例会(平成27年2月28日(土))において,『身体の構造と機能にもとづく発声指導プログラムの開発』と題して,研究発表を行った。 以上の成果として,公立小学校の児童に対して行った,指導プログラムを使用した歌唱指導の結果,体の構造や機能を理解した上での歌唱指導は,子どもたちに,楽な発声を提供するとともに,発声時の様々なトラブルの回避につながるとの確信を得た。また,「ウィスパード・アー」の習得体験においては,声や発音のイメージを喚起することが,子どもたちの自由な発想を引き出し,習慣的に筋肉で歌おうとする行為をストップさせるとともに,本来,コントロールすることができない発声器官を,意識によって変化させることを可能にするという点が明らかになった。この意識する緊張感を保つことこそが,結果的には,子どもたちに,自然な響きと,多様な音色をもった声を獲得させることにつながるのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の計画では,①指導プログラムの改善,②音色,響き等の新たな指導プログラムの作成,③アレクサンダー・テクニークの技術取得の3点を掲げた。①については,25年度にインフルエンザで実施できなかった『アレクサンダー・テクニークを応用した姿勢と呼吸法のための指導プログラムの開発(平成23年度作成)』の検証も無事に終了し,指導プログラムの改善を行うことができた。②については,研究論文『アレクサンダー・テクニークにおけるウィスパード・アーの教育的可能性』において,方向性を打ち出すことができた。③においては,15回にわたる習得体験をとおして,アレクサンダー・テクニークの原理を深く学ぶとともに,技術を高めることができた。以上より,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は,本研究の最終年度となる。小・中学校教員,合唱指導者を対象とした講習会を開催し,音色,響き等の新たな項目を加えた,体系化した指導プログラムの成果を発表するとともに,指導プログラムの運用方法を解説した手引書を作成し,実践現場への還元を行う。
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Research Products
(2 results)