2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381212
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川嵜 道広 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (80169705)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 図形認識能力 / 図形指導モデル / 図形指導 / 図形概念 / 視覚的能力 / 言語的能力 / 開発研究 / 理解の様相 |
Research Abstract |
図形指導を改善するという研究課題を解決するために,まず,図形認識能力を設定した。図形概念の視覚的表象と言語的表象の二面性に対応させて,図形認識能力を,視覚的能力と言語的能力に分類した。そして「理解の様相モデル」の5つの様相に対応させて,各能力を細分化することにより図形認識能力を設定した。 図形概念に関する認識論的研究において,図形概念は,視覚的表象と言語的表象の二面性があることを明らかにしている。そして,図形概念の理解の過程を『図形概念の理解の様相モデル』として整理している。図形概念は,イメージ的表象と言語的表象の2つの表象それぞれの独自の発達とともに,互いの相互交渉を重ねることで,5つの様相を経て客観的な図形概念へと発達していく。これら5つの様相は,子どもの理解過程の特質を表すとともに,発達の傾向性を示すものである。この理解の様相モデルの知見に基づいて,図形認識能力を次のように設定した。 図形概念の二面性に対応させて,図形認識能力を,視覚的能力と言語的能力に分類する。視覚的能力とは,視覚的に図形を認識する能力のことであり,ものを見て図形を判断したり,図を通して図形の性質を考えたりする能力である。言語的能力とは,言語的に図形を認識する能力のことであり,図形の名称や性質,定義の理解にかかわる能力である。また,5つの様相それぞれの典型的な現象に基づいて図形認識能力を細分化し,能力の観点で理解の様相を同定できるようにした。 子どもの図形認識能力を設定することにより,子どもの理解の状況を同定することができ,現在の学校数学における図形指導における様々な活動を意味づけ,授業過程における位置づけを行うことができるようになる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は,図形概念に関する認識論的研究で解明した図形認識過程の知見と,図形認識に関する質的研究により得られた図形認識の変容過程の知見を基礎として,子どもの「図形認識能力」を設定し,「図形指導モデル」を開発することである。 平成25年度は,これまでの研究により得られた知見に基づいて,図形認識能力を設定した。研究実施計画では,図形認識能力を詳細に設定した後,子どもの図形認識能力を同定するために用いる判定基準を設定することとしていた。しかし,図形認識能力は詳細に設定できたが,5つの様相に細分化された視覚的能力と言語的能力をさらに精緻化し,各様相の能力を,調査問題の形に具現化することはできていない。したがって,当初の計画よりやや遅れていると自己評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,まず,子どもの図形認識能力を同定するために用いる判定基準を設定する。5つの様相に細分化された視覚的能力や言語的能力をさらに精緻化し,各様相の能力を,図形の再認問題(図を見て図形を判断する問題,適する性質を選択する問題等),再生問題(典型的な図をかかせる問題,図形の定義を書かせる問題等)の形に具現化する。 次に,学校数学における図形認識の実態を把握するために,作成した調査問題を用いて実態調査を行う。再認問題と再生問題に対する回答を分析することで,子どもの図形認識能力の状況が検証し,次年度以降の図形指導モデルの構築における基礎資料としたい。
|
Research Products
(3 results)