2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381212
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川嵜 道広 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (80169705)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 図形認識能力 / 図形指導モデル / 図形指導 / 図形概念 / 視覚的能力 / 言語的能力 / 開発研究 / 理解の様相 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、図形指導モデルを開発することにより、現在の図形指導を改善することを目的としている。そのために、平成25年度は、これまで取り組んできた図形概念に関する認識論的研究に基づいて、図形認識能力を設定した。図形認識能力を視覚的能力と言語的能力に分類し、さらにそれぞれの能力を、図形概念に関する5つの理解の様相に細分化することで、子どもの理解の様相を図形認識能力の観点から同定できるようにした。 平成26年度は、図形指導モデルを開発するために、その前提となる現在の図形指導について理論的側面から分析し、その結果を、教科書の教師用指導書研究編にまとめた。図形指導の歴史や特質、指導の実際等の観点から現在の図形指導を反省し、図形指導の課題や図形認識の状況について探究した。 図形指導の変遷を考察した結果、図形指導の指導内容には確固とした指導原理がないこと、子どもの図形認識に基づいた内容構成になっていないこと、そして、図形感覚の育成が叫ばれているが、図形感覚とは何かといった検討も深くなされていない状況であること等が明らかとなった。 また、図形指導の特質においては、図形概念の言語的表現と図的表現の観点から育成すべき図形概念の姿を明らかにし、図形認識の特質に基づく図形指導のあり方について検討した。そして、図形認識能力の解明と、図形認識能力に基づく図形指導モデルの構築が必要であることを、理論的側面から提言した。 さらに、図形指導の実際を、言語的能力と視覚的能力それぞれの認識の観点から分析した。まず、言語的能力に関しては、用語や定義、性質について分析し、視覚的能力に関しては、イメージの認識や図形感覚について分析した。次に、図形指導における操作の特質について整理した。最後に,小学校6年間の指導内容を図形認識の観点から検討し,図形指導の現状における問題点と留意点を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、子どもの図形認識能力を同定するために用いる判定基準を設定する予定であった。しかし、主に理論的側面から、現在の図形指導における図形認識の特質や現状について探究したために、図形認識能力の精緻化には至らなかった。理論的側面を充実させ、研究の基盤を固めることはできたが、図形認識能力の調査に必要な準備ができなかったために、当初の計画よりやや遅れていると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、図形認識能力を同定するための判定基準を策定する。そのために、5つの様相に細分化された視覚的能力や言語的能力を精緻化し、それぞれの能力に対応する調査問題を作成する。さらに、作成した問題を用いて調査を実施し、現在の図形指導における図形認識の状況を把握するとともに、調査問題の妥当性も検証したい。
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Research Products
(2 results)