2016 Fiscal Year Research-status Report
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25381212
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川嵜 道広 大分大学, 教育学部, 教授 (80169705)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 図形認識能力 / 図形指導モデル / 図形指導 / 図形概念 / 視覚的能力 / 言語的能力 / 図形認識 / 開発研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,図形指導モデルを開発することにより,現在の図形指導を改善することを目的としている。そのために,平成25年度は,従来からの研究である「図形概念に関する認識論的研究」に基づいて,図形認識能力を視覚的能力と言語的能力の観点から分類した。そして,26年度は,主に現在の小学校算数科における図形指導を,歴史的観点や特質,指導の実際の観点から分析し,図形指導の課題および,図形認識の状況について明らかにした。平成27年度は,主に中学校数学科における図形指導全体を対象として,教科書の展開や記述に基づいて図形認識に関わる問題点を明らかにした。平成26年度と平成27年度の研究を合わせて,学校数学全般における図形指導の課題の探究,及び図形認識の問題点の解明を行った。 平成28年度は,これまでの図形認識能力の分類と,図形指導課程の分析・検討の結果を受けて,図形認識能力を育てるための図形指導モデルを開発した。その際,子どもの図形認識の変容過程の特質を踏まえて,視覚的能力と言語的能力それぞれの育成を目指した指導モデルになるよう心掛けた。具体的な指導場面としては,小学校3年生の二等辺三角形の指導において,辺の長さを構成要素とした三角形の分類の際に,視覚的能力と言語的能力の育成を意識した展開を工夫した。特に視覚的能力の育成のために,位置や方向,大きさの異なる三角形を判別させるとともに,動的な構成の場面を工夫し,頭の中でイメージ操作ができるように促した。 大規模調査による検証はできていないが,個々の事例を通して,開発した図形指導モデルにより,図形認識能力を高めることができることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,これまでの研究を踏まえて図形指導モデルを開発する予定であった。小学校,中学校における大規模調査によって,図形認識の現状を把握することはできていないが,開発したモデルを用いて授業構成し,子どもの変容を検証することで,モデルの規約性についてある程度の信頼性を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,開発した図形指導モデルが有効であるかどうかをさらに検証するために,大分県内の公立小・中学校,及び大分大学附属小・中学校において授業実践を行う予定である。基本図形の性質の理解に関する指導内容や,合同・対称等の関係概念の理解に関する指導内容を選択し,モデルに基づいた指導計画を立て,従来の指導と比較することで,図形認識能力の高まりを検証していく。
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Research Products
(2 results)