2013 Fiscal Year Research-status Report
社会的相互作用に基づく「数学的意味と表現の相互発達」に関する授業構成の研究
Project/Area Number |
25381213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 武志 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (60239895)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 算数・数学教育 / 数学的意味と表現の相互発達 / 構成主義 / 社会文化主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は次の二点にある。第一は,「主観的意味から客観的意味への変容過程」と「インフォーマルな表現からフォーマルな表現への洗練過程」を2軸とする教授・学習モデルを理論的に検討することである。第二は,こうした教授・学習モデルに基づいて,算数・数学科におけるいくつかの教材に関する指導上の課題を抽出し,改善策を提案することである。 このような研究目的の下,平成25年度の研究では,個人の主観的意味の発達を重視する構成主義の理論と高次精神機能の発達における記号の媒介性を重視する社会文化主義の理論とを協応させるという立場から,第2学年「たし算の筆算」の指導の在り方について,理論的かつ実践的に検討した。具体的には,次のような理論的研究および実践的研究を行った。 理論的研究としては,たし算の意味の発達と慣例的な表記である「筆算」との円滑な接続を図るという視座から,第2学年における「たし算の筆算」の単元に関する教科書の展開を批判的に検討し,次の2つの改善のポイントを指摘した。第一は,「くり上がりのないたし算」においては「十の位から計算する方法」と「一の位から計算する方法」の両方を認めた上で,「くり上がりのあるたし算」において,子どもたちの社会的相互作用を活性化しながら,筆算に基づく一の位から計算する方法の有用性を認識させることである。第二は,第一とも関連して,「表現の変容」という視座から,子どもたちの「インフォーマルな表現」から「筆算」へのなだらかな移行を促すことである。 こうした理論的研究をふまえ,実践的研究として,約10単位時間にわたる研究授業を協力小学校において実施し,上述の理論的改善がおおむね有効であることを検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究では,第2学年「たし算の筆算」の単元について,理論的な改善案を提案することができた。また,協力小学校における検証授業によって,理論的な改善案がおおむね有効であることも示唆された。以上を総合的に考慮して,研究が「おおむね順調に進展している」と判断した。なお,平成25年度の研究成果については,現在,授業記録などの整理中であり,平成26年度に学会発表あるいは論文投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究では,平成25年度の研究に引き続き,「主観的意味から客観的意味への変容過程」と「インフォーマルな表現からフォーマルな表現への洗練過程」を2軸とする教授・学習モデルを理論的に検討する。また,平成25年度の研究で検討した第2学年「たし算の筆算」以外の教材について,指導上の課題を抽出し,その改善策を実践的に検討する。
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