2014 Fiscal Year Research-status Report
現代日本の生命論を軸とした美術教育の展開―自然観を構築させる6段階と文化的領域―
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25381220
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
磯部 錦司 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (40322614)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然 / 生命 / アート / 表現 / 美術教育 / 環境 / プロジェクトアプローチ / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
1980年代以降の現代日本の生命哲学を根拠に「生命をコアとした美術教育」の構想とその造形活動の理論化を試みた。今年度においては以下の内容で実践事例の構築と収集を行った。 ○前年度の構想に基づき実践を、オーストラリア(シドニー市立Tenpe小学校、 Blobe 幼・小学校 、椙山女学園大学附属小学校、「アートキャンプ」(岐阜こども芸術村、富山県南砺市利賀村)におて展開し資料を収集した。さらに、プロジェクト・アプローチにおける資料収集と実践事例の構築を、イタリアのレッジョエミリアの取材及びレッジョ市の保育指針をもとにした事例と、シドニーのBlobe幼稚園、日本の赤碕保育園、仁慈保育園の事例をもとに実践事例から行った。 ○自然観の生成に関わる造形行為の機能についての臨床的分析を、2012年までと2014年の実践事例で収集した「活動のプロセスにおける臨床資料(活動の映像記録と観察記録)」からと、造形行為「直接的、統合的・包括的、想像的、コミュニケーション機能」について収集し行った。 ○自然観の構築を具体化する造形活動の分析とカリキュラムの構想を、2012年までと2013~2014年の「実践事例の構築①②」の資料、及び国内の実践資料で収集した「実践の展開記録、指導案、映像資料」、椙山女学園大学付属小学校、赤碕保育園、アートキャンプの実践事例から、造形行為の機能の分析に照らし合わせ、「6つの段階(一体化、生活世界の芸術化、個の想像的リアリティー、社会的リアリティー、生の共有、社会的創造活動)」に分類し、カリキュラムのモデル構想を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での実践事例と資料の収集は、継続し行うことができた。特に、鳥取、富山、附属学校での収取は貴重なものとなった。国外では、昨年度のオーストラリアでの実践事例の展開と資料の収集を継続し試みた。また、調査を拡大し、プロジェクトアプローチに関わる資料収集をイタリアにおいて新たにおこなった。その内容を幼児における日本での実践事例の検証と結びつけ、「プロジェクトアプローチの実践から」として著書において発表をおこなった。実践事例の拠点とした富山県南砺市利賀村、シドニー市幼稚園、鳥取県保育園、椙山女学園大学附属小学校においては、活動のプロセスと作品に内容から、事例の分析を行うことができた。特に、シドニーでの構築は、「プロジェクトアプローチの背景と表現考」として成文化した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成27年度は、研究範囲を拡大し、フランス、デンマークでの資料集を行い、これまでの実践事例収集を継続とあわせ、プロセスの分析とモデル授業(保育)の展開を試み、6段階の実践の検証を行う。さらに、プロジェクトアプローチに関わる内容については、事例収集を拡大し、主題を視点に事例の検証を行う。上記の内容と過去2年間の内容をもとに成文化し発表する。
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Causes of Carryover |
研究の収集を拡大し、バンコク市小学校とイタリアのレッジョ市幼稚園での資料収集を試みた。また、シドニーでの実践事例の展開と資料の整理のための人件費が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料収集と実践事例の展開のための旅費は平成26年度に集中させ執行した。そのため平成27年度に予定していた旅費は削減する。また平成27年度は、最終年度であるため、資料の分析や成分に関わる作業が中心となるため、資料収集のための旅費や材料費は少なくなる。
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