2014 Fiscal Year Research-status Report
物理的解析を組み入れた玩具づくりワークショップ・プログラム及び玩具デザイン開発
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25381221
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
渋谷 寿 名古屋女子大学, 文学部, 教授 (70216034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 直志 名古屋女子大学, 文学部, 准教授 (70377919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 造形教育 / 玩具づくり / 物理教育 / ワークショップ / 物理的解析 / 玩具デザイン / 玩具作品 / オートマタ |
Outline of Annual Research Achievements |
物理的解析を組み入れた玩具づくりワークショップは、子ども達の造形的・創造的感性、理論的思考力、ものの本質を見抜く基礎力を獲得させるという独自の仮説に基づき、2年目の研究として幼児から児童までを対象とした次のワークショップ・プログラムを開発し実践を行った。1)スーパーボールをビニールで包み込んだシャトルを飛ばす「投石器(スタッフ・スリング)づくり」。2)マジックテープを取り付けた虫を作り、それを投げ上げてミットでキャッチする「虫キャッチで不思議な虫をつかまえよう」。3)「回転モーメントで加速させる自動車づくり」。それぞれの玩具動作における物理的解析をパワーポイントで制作し、紙媒体で子ども達に示したり、映像として子ども達に見せて、どのようにしたら、よく飛んだり、速く遠くまで走らせられるか等の考えるポイントを提示した。対象が幼児の場合は、物理的な理解は難しいため、直感的な理解を目指す上で、複数のモデルで動作の違いを実感させる直接的な方法が望ましいことが分かった。また、対象が児童の場合は、学年が上がるに従って知的で科学的な理解が得られるような物理的解析の提示を試行し、子ども達が理解しやすいパワーポイントの内容を工夫した。どちらの場合も、真の子ども達の理解度は測りがたいところはあるが、アンケートの結果を総合的に判断すると、やや難しい玩具づくりだったが、大変面白く又やりたいと感じたことが分かり意義は大きかったと考える。ワークショップ研究と相補的な玩具作品研究としては、カム、モビールの原理を組み合わせたオートマタの玩具(ペガサスと月)をデザイン制作し発表した。ハンドルを回すことにより、ペガサスが羽ばたき、三日月が左右に向きを変えるファジーな動きを楽しむ玩具となった。また、リンク構造と希土類磁石を利用して、羊が氷上で複雑なダンスをする、予測不能な動きを楽しむ玩具をデザイン制作し発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も、有馬玩具博物館において、ドイツのオートマタに関する資料の収集を行い、新たな研究展開の方向性を検討する重要な視点を見つけることができた。また、民族学的な視点の調査を国立民族学博物館で行い、今までとは異なった研究上の視点を見つけることができた。物理的解析を取り入れた玩具づくりワークショップは、シャトルを空に向けて高く遠くに飛ばす工夫を引き出す実践、自動車を勢いよく走らせるための工夫を引き出すワークショップを実施できた。また、玩具作品は、モビール、カム、リンク、磁力に着目した新たな視点で2作品をデザイン制作し発表でき、一定の研究成果は得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目の玩具づくりワークショップにおける物理的要因として、「加速運動」「遠心力」「回転モーメント」「運動エネルギー」「慣性」「摩擦」「重心」「空気抵抗」「ゴムの弾性力」「重力加速度」「減速運動」等を取り上げ、より遠くに飛ばしたり、より速く走らせるための工夫を引き出すワークショップ・プログラムを開発した。今後は、以上の物理的要因をより深く検討するとともに、全く異なった物理的要因を組み込んだ玩具テーマも開発し、子ども達から、科学的な理解や直感をともなったワクワクさせる玩具づくり経験を引き出したいと考える。また、ワークショップ研究と相補的に、玩具作品をデザイン制作するという、成果を互いにフィードバックさせる研究手法は非常に有効と判断しているので継続したいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究計画として予定していた学会発表1件が、発表予定学会の都合によりできなかった。そのための旅費、消耗品等の予算を使用することがなく次年度使用が生じた。なお、研究は、ほぼ予定通り遂行されており、次年度使用額が生じたことによる研究の遅れはない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を27年度の研究計画の物品費に充当して、玩具づくりワークショップ及び玩具作品制作のための材料・消耗品として使用する予定である。その他には学会発表のための旅費、ワークショップテーマ・教材作製のための人件費・謝金、学会発表に向けたイラストレーター等のデータ作成のための人件費・謝金、作品発表のための展覧会参加費、作品運搬費等に使用予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 氷上の羊たち2014
Author(s)
渋谷寿
Organizer
第46回美術展欅
Place of Presentation
愛知県芸術文化センター
Year and Date
2014-11-26 – 2014-11-30
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