2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
根津 朋実 筑波大学, 人間系, 准教授 (50344958)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宮坂哲文 / 宮坂〔吉吉〕宗 / 禅 / 教科外活動 / 集団主義 / 特別活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下、「〔吉吉〕」はJIS第3水準の文字で、「哲」(テツ)の異体字である。 第二年次は、当初計画の課題「哲文が自認した父からの影響を考慮するため、父〔吉吉〕宗の文献も収集する」を遂行した。具体的には、昨年度に引き続き、次のRQ (research question) を扱った:RQ3「〔吉吉〕宗はどのような人物だったのか」、 RQ4「〔吉吉〕宗が遺した論文や著述は、どのようなものか」、RQ5「〔吉吉〕宗と哲文との間には、理論上の類似があるのか。とくに禅についてはどうか」。検討の成果として、〔吉吉〕宗は禅宗の高僧で学校教育にも関心を寄せていた事実の確認、既公刊論文の記事類30数件に加え新たに12件の記事の発見、および、禅とりわけ「行」に関し、〔吉吉〕宗と哲文はやや異なる見解を有した可能性の指摘が、それぞれ挙げられる。関連して、収集した古雑誌類を、筑波大学中央図書館に寄贈した。 あわせて、本来の第三年次の課題「『禅における人間形成』に至る哲文の理論的変遷、アメリカ合衆国の extra-curricular activities の受容過程を解明し、教科外活動の源流を総合的に考察する」に着手した。第二年次までの研究成果によれば、「哲文が戦中期まで扱ってきた禅による集団的な教育と、キリスト教文化圏の中等教育における extra-curricular activities とを対比させる意図が、戦後の論考として顕在化したのではないか」という仮説は、ほぼ支持されつつあるといえる。検討の過程で、後の「集団主義教育」との関連もあり、宮坂哲文研究および特別活動の史的研究の重要なキーワードとして、「集団」に注目する必要性が改めて示唆された。 上述の研究成果は、既に公刊された論文への「補遺」1件、および学内紀要論文1件として、公刊される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は次の通りだった。すなわち、「教育学者、宮坂哲文(みやさかてつふみ1918-1965)の初期論考に注目し、 戦後の教科外活動の源流を探るものである。特別活動に代表される戦後の教科外活動は、実践の豊富さに比べ、理論的、歴史的な検討が今なお不足している。この状況を改善し、教科外活動研究の専門性を高め、学術的な視野を拡げること」と。また、第二年次の研究計画・方法は、「研究実績の概要」に記載した通りである。 如上の目的、研究計画・方法と、得られた研究成果から見て、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、第三年次の研究計画を進める。すなわち、研究課題「『禅における人間形成』に至る哲文の理論的変遷、アメリカ合衆国の extra-curricular activities の受容過程を解明し、教科外活動の源流を総合的に考察する」を充実させる。これは既に第二年次で、部分的に着手済みである。 本研究課題最終年度のまとめとして、報告書の作成と配布等を検討中である。
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Causes of Carryover |
当初の計画から見て、研究がおおむね順調に推移したため、当初見込みよりも少なめの使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第三年次に報告書刊行および配布等で、まとまった額を使う予定である。
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