2014 Fiscal Year Research-status Report
自覚的省察フレームの構成による授業観察法の構築-教員研修への応用-
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25381249
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
森 勇示 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90345942)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体育科教育 / 教員研修プログラム / 授業観察 / 省察 / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は教員研修のプログラムとして応用する授業観察法の構築である。本年度は、授業観察演習で使用するVTR資料を作成し、愛知県10年経験者研修でそれを使用した。その結果をもとに、修正した新たな授業観察演習を研究協力者教師3名(教職3年、9年、13年)に対して実施した。 VTR資料の作成では、愛知県内・県外で実施した体育・保健体育の公開授業・研究授業を撮影し編集した。資料は授業実践場面を単に時間的に縮小し編集したものと、スポーツ用動画編集ソフトを用いて編集したものの2種類を作成した。 これら2種類のVTR資料を用いて、教員研修の中で2セッションの授業観察演習を実施した。1回目のセッションはフリーカード法による授業観察演習である。この分析結果を受講者同士で提示し、自らの観察視点の偏りを知ることとなった。2回目のセッションでは視点の偏りを指摘しながら、観察条件を提示するとともに、観察フレームの作成法を講義した。講義を受けた後、それぞれの視点での観察演習を行い、その分析結果を発表させた。これにより、観察フレームを自覚的に構成することができた。 上記の結果をもとに、観察フレームの構成に関して表記法を修正した。修正点は教員にとって共通理解を図りやすい語で表すことと、言及対象となる次元をそろえることである。その修正した条件で、研究協力者教師3名に同様の観察演習を依頼し、実施した。現在は、その結果を分析し修正を加え、平成27年度教員研修のプログラムにて実施する。 自覚的に観察フレームを構成できる本研究の方法は、「学び続ける教員像の確立」に向けたこれからの教員研修のあり方を実現する点で期待できる。また、大学と教育委員会との連携が各地で進められる中、教員研修プログラムとして提供できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度達成した事業は、①授業観察演習用VTR資料の編集・作成②愛知県10年経験者研修にて授業観察演習を実施③研究協力者教師に同演習の修正版を実施した。 VTR資料は愛知県内・外の学校で行われた公開授業・研究授業を撮影・編集して作成した。資料は、授業の構成内容と展開プロセスが伝わりやすいものとなった。子どもの運動場面での技能分析のために、映像編集においてさらなる改善をしたい。 研修での観察演習は計画通り実施できた。受講者が表記し分析した結果をデータとしてさらに収集したい。 研究協力者教師による分析演習は、3名の現職教師に対して実施した。その中で、各教師が自身の観察フレームの焦点・偏重・欠落を自覚することができた。この結果を次年度の演習につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も愛知県10年経験者研修にて、さらに演習を実施する。また研究協力者教師にも同様の演習を実施する。両者の演習から作成されたポートフォリオをデータとして分析する。その結果をまとめ、関係機関に報告する。あわせて学会等に論文投稿する。
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Causes of Carryover |
データ入力、動画編集、研究協力者人件費・謝金が少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の繰越金は、平成27年度の物品費、旅費、人件費・謝金、その他に加えて使用する予定。 平成27年度の計画では、愛知県10年経験者研修及び研究協力者教師に観察演習を実施する。そのための資料用消耗品を物品費にあてる。また、観察演習結果をデータとして分析する際のデータ入力や資料整理に人件費・謝金をあてる。さらに、研究成果の報告のための学会参加費に旅費をあてる。そして、報告書作成のための印刷費として物品費を使用する計画である。
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