2013 Fiscal Year Research-status Report
シミュレーション技術を活用した中学校技術科の教材開発と評価
Project/Area Number |
25381253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 准教授 (00378283)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 技術教育 / シミュレーション / 構造解析 / ものづくり / CAE |
Research Abstract |
研究初年度は,(1)ソフトウェアの開発,(2)ソフトウェアの精度検証,(3)指導案の作成の3項目に取り組んだ。 【ソフトウェア開発】中学校の技術科教育に関する授業時数を考慮すると,構造設計に関する時間はほとんどとれないのが現状である。そのような中,ソフトウェアの操作学習に時間を割くことは現実的ではない。そこで,本研究で開発するソフトウェアは,インタラクティブな操作性を有することに特徴を持たせた。例えば構造変更を行うと同時に,その構造の変形状態と応力の分布状態が示され,強度評価を行うことが可能とした。今年度は構造解析,特に剛性解析と振動解析に焦点を当て,剛性解析については荷重に対する変形量と応力分布,振動解析については共振周波数と振動モードを表示できるようプログラムを開発した。また,剛性解析については,位相最適構造を算出できるよう,材料使用量に制約条件を設けた最適設計プログラムを構築した。 【開発したソフトウェアの精度検証】開発したソフトウェアの検証のために,実際に構造模型を作成し,実験を行った。ここでは,実際の授業実践を想定し,中学校で用いられることの多い木材とプラスチック材料(アクリル)を用いて模型を作成し実験を行った。その結果,たわみ,共振周波数ともに誤差10%以下と十分な精度を有することが確認できた。 【授業案の作成】開発教材を用いた授業案を検討した。ものづくりの設計段階に焦点を当て,ものづくりの設計学習においてシミュレーション技術を援用することの意義や利点,問題や課題についても検討し,授業案に反映させるよう試みた。また,現代社会のものづくりにおいて欠かせない存在となっているシミュレーション技術についても気付き,その役割について理解できるような授業構成となるよう工夫した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は,計画に基づき(1)ソフトウェアの開発,(2)ソフトウェアの精度検証,(3)指導案の作成の3項目に取り組み,それぞれ計画を達成することができた。以下,その詳細について述べる。 【ソフトウェア開発】構造設計に関する剛性解析と振動解析プログラムを構築することを目標とし,インタラクティブなユーザーインターフェースを有するソフトウェアを開発した。また,剛性解析については位相最適設計機能を導入し,最適構造を算出できるように工夫した点は,計画を上回った点と言える。この機能により,教師が示した制約条件かにおける最適構造を学習者に示すことができるようになった。特に最適構造は制約条件により異なるため,このように最適構造を明示できることは学習意欲や効果を高めるためにも有効に作用するのではないかと考えている。 【開発したソフトウェアの精度検証】開発したソフトウェアの精度検証のために,構造模型を使用した実験を行った。ここでは,実際の授業実践を想定し,中学校で用いられることの多い木材とプラスチック材料(アクリル)を用いて模型を作成し実験を行った。その結果,たわみ,共振周波数ともに誤差10%以下と十分な精度を有することが確認できた。今後は授業での使用を考えると,材料データをソフトウェアにデータベール化しておく必要があると考えられる。 【授業案の作成】開発教材を用いた授業案を検討した。ものづくりの設計段階に焦点を当て,ものづくりの設計学習においてシミュレーション技術を援用することの意義や利点,問題や課題についても検討し,授業案に反映させるよう試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
【開発したソフトウェアの精度検証】平成25年度に引き続き、精度検証のための実験と計算を実施し、精度向上につとめる。まず、金属材料を対象に曲げ試験と振動試験を実施し、開発するソフトウェアのシミュレーション結果と比較検証する。次に、技術科の授業で用いられることの多い木材や、近年注目されている繊維強化複合材料などのプラスチック材を対象に同様の比較検証を実施する。さらに、前述の基礎実験で得られたデータを基に、これらの材料を使用して、三角構造や四角構造などの基本的な構造を製作し、曲げ試験結果とシミュレーション結果を比較することで、開発したソフトウェアの精度検証を実施する。特に振動評価においては,高精度評価のためFFTなどを活用した詳細な分析を実施する。 【中学校教員を対象とした開発教材の評価と改善】中学校技術科の授業での実践に向け、また本開発教材の改善を目的として、中学校教員を対象とした調査を実施する。本調査では、開発したソフトウェアを実際に使用し、ユーザーインターフェース及び機能の改善や、シミュレーション技術を中学校技術科の教材として導入することの意義と課題についても調査を行う。調査結果をもとに、開発したソフトウェアの改善を行うとともに、次年度実施する授業実践のための授業案に反映させる。 【授業案の作成】開発教材を用いた授業案を作成する。ここでは特にシミュレーションの活用場面に焦点をあて、ものづくりの設計学習においてシミュレーション技術を援用することの意義や利点、問題や課題についても検討し、授業案に完成させる。そこで,初年度に検討した授業案をもとに,中学校教員と検討を行い,次年度に授業実践による評価を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究発表のための旅費が実施年度まで確定しなかったため,研究計画に計上した予算とは異なった。 翌年度は,研究計画にも記述したように,ソフトウェアの精度検証のための実験を実施する。そこで,試験材料を呼び試験用機器の購入予算を計上する。特に振動試験においてはFFTアナライザーなどを活用して,振動時の試験片の様子などを詳細に検討し,シミュレーション結果と比較,検証する。 また,研究成果を発表するための出張予算を計上する。
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