2014 Fiscal Year Research-status Report
総合的学習における評価規準の作成と評価方法に関する教員研修プログラムの開発
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25381256
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 真 関西学院大学, 教育学部, 教授 (20324949)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 総合的な学習の時間 / 評価規準 / 評価方法 / 教員研修 / カリキュラム・マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、第一に国内外の理論研究としての文献収集とその分析を実施した。すなわち「総合的な学習の時間」は今次改訂において「探究」を担う学習類型としてその位置が明確にされた。これにより、今後は「探究」的な学習としての「総合的な学習の時間」において「育てようとする資質や能力及び態度」を学習状況評価することが必要とされる。この「育てようとする資質や能力及び態度」については、文部科学省『総合的な学習の時間・解説』のp.25で「育てようとする資質や能力及び態度」の3つの例示は「OECDのキー・コンピテンシーと符合している」と記されている。このことから、まずはOECDのキー・コンピテンシーの出典といえる理論文献 Howard Gardner,Intelligence Reframed:Multiple Intelligences for the 21st Century, New York:Basic Books,1999.他の文献等を収集し、これらを分析した。これにより学習評価の対象である「総合的な学習の時間」における「探究」的な学習で「育てようとする資質や能力及び態度」の内実を明確にできた。第二に「総合的な学習の時間」の学習評価に関する先進校の研修実態について現地調査した。なお、この「総合的な学習の時間」の学習評価に関する先進学校の研修実態の比較・検討から各都道府県ごとの官製研修との比較やその特質を明らかにする必要がある事が明確になった。第三に「総合的な学習の時間」の学習評価に関する教員研修プログラムの作成には「総合的な学習の時間」における評価規準の作成と評価方法に関する基礎データとしてカリキュラム・マネジメントに関する包括的な教員研修プログラムも研究の射程に入れなければならないことも明らかとなり、これに関わる資料の収集と分析も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「総合的な学習の時間」の学習評価の先進県である秋田県・埼玉県・愛知県・福岡県など、また先進校として著名な宮城県仙台市立広瀬小学校や山梨県笛吹市立浅川中学校などを調査対象校としての現地調査が協力教員の異動や日程調整の不都合から実施ができていないことから、「総合的な学習の時間」における学習評価に関する先進県や先進校としての特質をいまだ明らかにできていない。したがって、ポートフォリオ評価とパフォーマンス評価について実際の学校現場での現地調査および研究者と実践者とが共同で実際にこれらの評価方法を開発・実践し、その結果を分析することまでに至っていない。また、グループ・モデレーションを主とする新たな学習評価についての研修プログラムの有効性とその実践上の問題点を明確にすることも不可能となっている。すなわち、教師の「鑑識眼」を高める研修であるグループ・モデレーションを主とする新たな学習評価の評価研修の実態について「総合的な学習の時間」に関する評価研修の先進県及び先進校を中心に現地調査し、その効果を分析・検討までに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成27年度)は、第一に前年度までの研究成果から、一般公立学校を対象とした「総合的な学習の時間」で「育てようとする資質や能力及び態度」について学習状況評価するための「評価指標」の設定方法について明らかにする。すなわち、先進校での特質と一般公立学校の実態とを検討し、一般公立学校でも可能であるような教師の負担感が少なく、かつ児童・生徒の学習成果に効果的な設定方法を考案する。ここでは、先行研究である佐藤真編著『中学校・新学習指導要領の展開、総合的な学習編』明治図書,2008年でも明らかな、「総合的な学習の時間」の実践が低調な中学校での実践における学習評価での「評価指標」の設定方法について特に詳細に分析・検討する。第二に、「総合的な学習の時間」における評価研修の方法として開発した、グループ・モデレーションによる教員研修プログラムを一般公立学校を対象とし、実践する。とりわけ、「総合的な学習の時間」において「育てようとする資質や能力及び態度」の学習状況評価に活用する「評価指標」の機能が、児童・生徒の能力形成と教師の指導改善にどのように働いているのかというメカニズムについて分析し、一般公立学校において可能で簡便な教員研修プログラムを開発する。なお、本研究の研究成果については、日本教育方法学会、日本カリキュラム学会、日本教師教育学会、日本学校教育学会、日本生活科・総合的学習学会等において口頭発表するとともに学会誌論文にも投稿する。また、共同実践校や当該学校教師とともに、公開研究会での発表や公開セミナ-等も随時開催する予定である。さらに、報告書等とともに書籍の出版を予定している。
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Causes of Carryover |
今年度にポートフォリオ評価とパフォーマンス評価を中心とした新たな評価方法と教師の「鑑識眼」を高める研修実態について「総合的な学習の時間」の先進校を中心にした検討が担当教員の異動や日程の不都合で不可能となった。すなわち「総合的な学習の時間」でのポートフォリオ評価の実践先進校の視察のみで、「総合的な学習の時間」でのパフォーマンス評価の実践先進校での現地研修の調査を実施することができなかったため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、一般公立学校を対象とした「総合的な学習の時間」で「育てようとする資質や能力及び態度」の学習状況評価をするための「評価指標」の設定方法と評価研修としてのグループ・モデレーションの評価研修プログラムを開発する。そのため、まず研究協力校である一般公立学校を対象とした現地でのプレ評価研修会の実施とその分析・検討に必要な現地調査費等が必要である。次に「総合的な学習の時間」で「育てようとする資質や能力及び態度」の学習状況評価をするための「評価指標」の設定方法、そして、開発したグループ・モデレーションによる研修プログラムの研究の総括及び成果の公表・還元の意味での報告書や書籍等の費用として使用する。
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