2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉冨 健一 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (00437576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 気象 / 天気 / 学習 / 教材 / アメダス / 広島 |
Research Abstract |
中学生に向けた,広島県に特化した気象学習教材の開発を目的として,初年度はアメダス等で公開されている気象データを活用して,Web上に気象要素の変化を表示するシステムの開発を行った。 システムの開発は,アメダスの気象データの収集・収集したデータの蓄積・データの視覚化の3つの構成からなる。データの収集部分においては,先行研究において実施していた広島県内33 箇所の気象データの収集に加え,県内だけの変化ではなく,広島県を中心とした中国・四国・九州地方も含めた変化を読み取れることができるようにするため,観測データの収集対象を拡充し約240箇所(雨量)および約160箇所(気温)のデータを収集するとともに,さらに全国の約50の主要な都市および離島を対象として,風速・風向も含めたデータの収集を行うようスクリプトの改良を行った。 観測データの視覚化の部分として,ハワイ大学で開発された60あまりのツール群からなるオープンソースのソフトウェアであるGMTを用い,中四国の気温の変化の様子,および降雨時の雨量の変化の様子を毎時自動で描画し,更新するとともに過去24時間を遡って参照するシステムの作成を行った。 また,風と気温の変化の相関を読み取れるようにするため,沖縄をのぞく主要な都市・離島の風力・風向に関して,矢羽根を用いて風の向きを描画するシステムの開発を行うとともに,上記気温の平面分布を示した地図と対比させ,寒気や暖気の流れ込みをより視覚的に理解できるよう,標高における気温の低下を補正して地図に描画するシステムの開発を行った。この全国各地の風の向きと補正した気温の分布をもとに,天気図と比較することで,雪を降らせる寒気の流入や,フェーン現象の発生や南からの湿った空気の流れ込みに伴う降雨状況など大気の動きを視覚化することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の気象学習の問題点は,所在地の緯度・経度や標高による地域差が大きいにもかかわらず,教科書の典型的な例示に頼らざるをえないことにあった。気象の変化は所在地の緯度や経度,太平洋側や日本海側,標高や地形などさまざまな地理的要因に左右され,その土地特有の変化の様式を持っていることが多い。また気象の学習には,学習指導要領において自ら観測を行い,気温や湿度などの変化が,天気の変化と密接に結びついていることを学ぶ必要性が問われているが,実際問題として,週1回行われる授業による限られた時間および教室や校舎周辺,グラウンドなど限られた場所での観測からは,天気の変化に関して有効な法則性を見つけることは難しい。例えば,温暖前線や寒冷前線の通過に伴う雨量や気温の変化を学習しようと思っても,観測地をきれいに低気圧が通過するのは年に数回のチャンスしかなく,それが授業時間にあたる可能性はほとんどゼロに等しい。 そのため本研究では,アメダス等で公開されている気象データを活用して,Web上に気象要素の変化を表示するシステムを構築し,学習者の観測結果と対比できるようにすることで,気象の変化を把握し学習するための学習教材の開発を行っており,初年度の研究において,アメダスの気象データの収集・蓄積および,蓄積したデータを様々な手法を用いて視覚化するシステムの構築を終えており,今後の試用において多少の変更や修正が入る余地はあるものの,ほぼ計画通りに研究は進んでいるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の二年目にあたる平成26年度は,大学の講義における補助教材として,Webブラウザ等を用いて表現できるようになった中四国地方の気象の変化について,講義室等で学生がインタラクティブに利活用できるよう改良を行っていく。 まずは可搬性や利便性をも考慮したタブレット端末などの提示装置の選択,と端末に適した表示方法の検討を行うとともに,十数台で視聴・閲覧した場合の使用感や,システムの安定動作および健全性の評価などを併せて行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が2千円程度と少額であったため,執行せず翌年度に利用することととしたため。 研究の二年目にあたる平成26年度は,大学の講義における補助教材として,Webブラウザ等を用いて表現できるようになった中四国地方の気象の変化について,講義室等で学生がインタラクティブに利活用できるようタブレット端末や,無線LAN環境を整備するとともに,授業風景を記録したり,改善したりするためのカメラやビデオカメラ等の整備も併せて行う。
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Research Products
(2 results)