2014 Fiscal Year Research-status Report
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25381260
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉冨 健一 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (00437576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 気象 / 教材開発 / 天気 / システム |
Outline of Annual Research Achievements |
中学生に向けた,広島県に特化した気象学習教材の開発を目的として,二年目はアメダス等で公開されている気象データを活用して,Web上に気象要素の変化を地図形式で表示するシステムの運用と,得られた成果の教材としての活用の検討を行った。具体的には,主に中四国を中心とした範囲の気温の変化や,降雨量の変化,風向・風速の変化を地図形式で毎時自動的に描画・公開・蓄積を行うとともに,これらの気象条件をもたらした気圧配置を示した天気図・衛星画像などを気象庁のホームページから収集するシステムを追加して,過去にどのような条件になっていたかを振り返って学習できるよう整備を行った。 平成26年の夏は天候不順であったとともに,広島市内で大規模な土砂災害が発生するなど,特に降雨に関する注目度の高い年であったため,上記資料を用いて,どのような気圧配置・気象条件のもとで,空気がどのように移動し,どこに強い雨が降ったか,など学習を行うことに重点を置いた。 また,天気図的な気象の学習とは異なる,目で見える気象の学習の一歩として,さまざまな気象条件と雲の発生,あるいは天気の変化を学習するため,Webカメラを用いた空(雲)の記録システムの開発を行い,現在動作実験中である。これは朝から晩までの空模様の変化を微速度撮影と呼ばれる手法によって撮影を行い,日の出から日の入りまでの一日の変化をおよそ4~5分の動画として記録するものである。空の変化を動画として再生することにより写真のような静止がではわからないそれぞれの雲の高さや動きの違いなどをわかりやすく理解できるようになる。記録された動画に見られる雲の種類とその動きを,天気図や風向・風速と比較することで,直接観察することのできない大気の上空でどのようなことが起こっているか推測するとともに,日常に密接した天気の変化のようないわゆる“観天望気”の活動へとつなげることを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の気象学習の問題点は,所在地の緯度・経度や標高による地域差が大きいにもかかわらず,教科書の典型的な例示に頼らざるをえないことにあった。天気の変化は様々な地理的要因に左右され,その土地特有の変化の様式を持っていることが多い。また気象の学習には,学習指導要領において自ら観測を行い,気温や湿度などの変化が,天気の変化と密接に結びついていることを学ぶ必要性が問われているが,実際問題として,気象の単元にあてられる時間数の問題や,週1回程度の限られた時間,および教室や校舎周辺など限られた場所での観測からは,天気の変化に関して有効な法則性を見つけることは難しい。例えば,温暖前線や寒冷前線の通過に伴う雨量や気温の変化を学習しようと思っても,観測地をきれいに低気圧から伸びる温暖前線と寒冷前線が揃って通過するのは年に数回のチャンスしかなく,それが授業時間にあたる可能性はほとんどゼロに等しい。気象の学習における重要なポイントは,気象の学習に適した年に数回のチャンスを記録し,教材として活用することである。 そのため本研究では,アメダス等で公開されている気象データを活用して,Web上に気象要素の変化を表示するシステムを構築するとともに,雲の発生と変化を微速度撮影の手法を用いて動画として記録することで,学習者の観測結果と対比可能にするとともに,気象の変化を把握し学習するための学習教材の開発を行っている。二年目にあたる平成26年度には,開発したシステムの安定運用を目指すとともに,タブレット端末を用いた授業実践を予定通り行い,ほぼ計画通りに研究は進んでいるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の三年目にあたる平成27年度は,大学の講義における補助教材として,Webブラウザ等を用いて表現できるようになった中四国地方の気象の変化について,講義室等で学生がインタラクティブに利活用できるよう改良を行っていく。 学習の単元や内容の設定を行うとともに,学習内容に適した表示方法の検討を行い,数十台で視聴・閲覧した場合の使用感や,システムの安定動作および健全性の評価などを併せて行う予定である。
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Causes of Carryover |
残額が3万円程度と少額であったため,執行せず翌年度に利用することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の三年目にあたる平成27年度は,タブレット端末を利用した実際の授業・講義に補助教材として利用するにあたり,タブレット端末にコンテンツの内容をインストールし,複数のタブレット間で同期を行う専用のPCを整備する予定である。
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Research Products
(3 results)