2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25381266
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
関 朋昭 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20321367)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 運動部活動 / 勝利至上主義 / マネジメント / 学校スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の運動部活動は、世界的にみても独創的な学校スポーツの制度設計をつくった。この制度の注目すべきところは、人件費(教員)、施設整備(学校体育施設)、物品(生徒会)という元からある資源を最大限に活かしたことである。近代化をめざす貧しい時代であったがゆえ、「知恵」を働かせた日本的なシステムが出来上がったとみてよい。しかし、翻って「一高野球」が誕生し、日本的な「勝利至上主義」が登場することになった。戦後、アメリカは日本的な「勝利至上主義」を修正しようと指導する。学齢期の国民であれば誰もが自由に学校スポーツへ参加することを保障し、一部の選手のみが参加するのではなく、広く生徒が競技へ参加することができ、多額の経費を費やすようなことがないような制度づくりが進められることになる。それは、隠れたカリキュラムの一部として日本の学校教育に大きく貢献していくことになる。 民主化した運動部活動へは多くの生徒たちが集まった。同時に手狭な学校施設であるがゆえに大所帯となり、多くの補欠選手が誕生することになる。日本の学校スポーツは、基本的には自主性・自発性を尊重するものであるから門前払いはできない。そのため、「勝利至上主義」と「補欠選手」をどのようにマネジメントするかが重要となるが、そこは学校教育という場の利点が最大効果をうむ。「補欠選手」を単なる正選手(レギュラー選手)の競技力をサポートするだけの立場には置かない。正選手になれなかったとしてもバックアップ選手としての役割(応援、スカウティング)を与えることによって、教育の機会を提供したのである。 運動部活動は学校スポーツである以上「勝利至上主義」を完全に避けることは出来ないが、勝利至上主義の「閾値を下げる」ための制度設計はいくらでも可能である。運動部活動は、学校、社会にとって新たな「智」を創造する機会となる可能性を秘めていることを提言した。
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Research Products
(5 results)