2013 Fiscal Year Research-status Report
「放射線・エネルギー」問題を包括した環境教育のカリキュラム開発
Project/Area Number |
25381274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
小玉 敏也 麻布大学, その他部局等, 教授 (60632213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 智紀 麻布大学, その他部局等, 講師 (00367244)
鈴木 隆弘 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (40433685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境教育 / 原発事故 / 持続可能な開発のための教育 / エネルギー教育 / カリキュラム / 教材 / 総合的な学習の時間 |
Research Abstract |
2013年度の研究計画は「研究組織の立ち上げと基礎調査の実施」であった。 第1の研究組織の立ち上げは、同年度の夏に実施し、研究代表者・分担者の専門を踏まえた研究計画の立案を行った。それと並行しつつ、日本環境教育学会「原発事故のはなしワーキンググループ」(以下WG)との連携を深め、原発事故を素材にしたカリキュラム研究と教材の作成を行った。その研究成果は、2014年3月11日発行の『授業案:原発事故のはなし』(国土社)に結実している。本WGは、今後も定期的に継続し、研究分担者もそこに参加してつつ活動していく予定である。 第2の基礎調査は、5月の韓国ソウル市で実施された脱核教育交流集会への参加と視察、 8月の福島県南相馬市・郡山市周辺地域での現地調査を実施した。また、同月のエネルギー環境教育学会全国大会では、各地で原子力教育に関わる教育関係者から話を聞く機会も得た。また、上記の授業案を作成する過程で、7月の日本環境教育学会全国大会では、「原発と教育」という特別分科会が設けられ、研究発表をすると同時に参加者との議論を行った。また、11月の日本環境教育フォーラム主催の清里ミーティングでは、環境教育に携わるNGOの職員と研究課題に関わるワークショップを開催した。また、2月には立教大学で福島県・首都圏で活躍する教育関係者と原発事故に関する研究会に参加して発表した。 3月には単著『学校での環境教育における「参加型学習」の研究』(風間書房)を出版した。これは、本科研の研究課題をESD(=持続可能な開発のための教育)という大きな枠組みの中で検討する際の基礎的な研究成果の一つと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本環境教育学会のWGと連携して、書籍を出版できたことが大きな成果である。しかも、書籍を出版するまでに、各地の研究者、環境教育関係者、学校教員等の意見を取り入れながら作成できたことが、間接的に研究の社会的還元に結び付いたと考えている。また、同時期に単著を出版できたことも、筆者の研究成果を社会に広げたという意味で意義があるものと考える。 初年度の研究経過と成果は、日本環境教育学会の特別分科会、脱核教育研究集会(韓国)、立教大学の『福島原発事故とESD』プロジェクトで発表することができた。また、JEEF主催清里フォーラムでは、NGO関係者に研究成果を報告し、研究成果の一端を市民に還元することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画は「エネルギー・原子力教育・放射線教育・学校ESDの調査と分析」となっている。この課題と前年度の反省を踏まえて、以下のような研究を推進する。 (1)学校ESD研究の調査と分析~エネルギー関連項目を扱うユネスコ・スクールの調査 (2)福島県の放射線教育調査と分析~県の教育政策、研究開発校の実態調査 (3)理科教育・社会科教育における「エネルギー・原子力」の実践調査と分析 (4)「原発事故」を素材としたプログラムの開発 前年度以上に、研究分担者と協働して、上記の研究活動を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第1に、当初の研究計画にあった教科書分析(中高の社会科・理科・家庭科等)の作業ができなかったことが挙げられる。年度末に教科書を購入しようとして、発注手続き上の問題から時間がかかることがわかり購入を今年度に見送った。第2に、福井県、広島県等の原子力子教育推進校や研究開発校への調査を予定していたが、本務の関係と調査地の都合で実施することができず、旅費を執行できなかったため。第3に、今後の研究内容を考慮した結果、量的調査の分析に使用する高額な統計処理ソフトの購入を保留したため。第4に、他の研究者と協力しながら研究活動を実施することが多く、調査地での諸経費(交通費・通訳雇用費等)を一部節約することができたため。 上記の計画変更に基づき、まずは教科書を購入して早めに分析作業に入りたい。また、調査地に関しては福島県を中心に実施するが、本年度は国連ESDの10年の最終年に伴い岡山と名古屋で大規模な研究大会と国際会議が開催され、そこに旅費を執行する予定。また、韓国への研究調査も引き続き実施する。最後の、統計処理ソフトは質的調査の分析用ソフトに変更し、調査地で取得したデータの分析に活用したい。
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[Book] 風間書房2014
Author(s)
小玉敏也
Total Pages
178
Publisher
学校での環境教育における「参加型学習」の研究