2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語コーパスと内省に基づく論述文語彙指導のためのWeb教材開発とその評価
Project/Area Number |
25381286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
井上 次夫 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30342463)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語コーパス / 論述文語彙 / Web教材 / 教材開発 / 様式的位相 |
Research Abstract |
本研究は、日本人学生、外国人留学生など論文・レポート等の論述文で話し言葉といった不適切な語彙が使用されている実態を改善するためにWeb論述文語彙教材等を開発し、それについて評価を行うことを目的とする。そのために、本研究では学生の論述文における使用語彙の実態がどのようなものであるかを踏まえながら、日本語コーパスの調査に基づいて適切な論述文語彙とはどのようなものかを明確にし、それに有識者の内省判定を加味した論述文語彙の選定が出発点となる。 そこでまず、これまでに研究代表者が収集した高校生、高専生、大学生、留学生等が書いた論述文に加え、新たに高専3年生約200人の小論文(約700字)を収集した。そして、それらから学生の論述文における文字・表記・表現・語彙等における問題点を確認・整理しているところである。また、そのうちの特徴的な不適切語彙については論述文語彙への書き換えを目的に、単語の改まり度の視点からアンケート調査とコーパス調査を基にした単語の文体の位置づけを試み、単語文体値の有効性について示した。 また、国語辞典類における様式的位相表記(話し言葉と書き言葉)の実態を明らかにするために電子辞典の位相の表示法について調査を行った結果、辞典により記述内容に統一性がないこと、掲載語彙の種類と数に偏りが見られることを明らかにした。そして、論述文語彙の選定と方法論の必要性を示すとともに、単語文体値の有効性を示した。 最後に、これまで論述文語彙リストを作成するために、現在使用できる話し言葉コーパス、書き言葉コーパス、日本語学習者のための作文コーパス等について情報収集を行い、現在、その効果的活用法について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、学生の論述文に関する文字・表記・語彙に関する不適切表現に関する主な分類を行い、その例語が一定数、収集できている。 次に、論述文における不適切語彙の書き換えに資する辞典、コーパス等の調査が進んでいる。 また、論述文語彙のリストアップに向けての方針を確定し、実際の作業に向けて個別の語の事例研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、教材の出発点となる論述文語彙の範囲について理論的に条件を明確化した後、論述文語彙リストの作成に向けての作業を本格的に進める。 第2に、論述文語彙の習得に向けた演習問題の収集、開発を行い、冊子教材の作成を行う一方、Web教材の試用版のサンプル作成に着手する。 第3に、以上の作業を通して、論述文語彙の学習に有効な論述文語彙リストの完成に向けて改訂作業を行う。
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Research Products
(7 results)