2015 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児・者の生活機能拡張・向上のための療育者への間接的介入に関する研究
Project/Area Number |
25381304
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮地 弘一郎 信州大学, 学術研究院・教育学系, 准教授 (40350813)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重症心身障害 / ICF / 心拍 / 瞬目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では“反応の乏しい”重症心身障害者の生活機能としての感覚受容を拡張・向上するための,療育者への間接的介入の効果について,重障事例の日常生理モニタリングと療育スタッフの主観評価から検討することを目的とした. 平成25年度,および平成26年度の研究を通して,チェックシートを通した間接的介入によってかかわり環境が変容し,重障児の刺激応答性の変容に繋がる可能性が示唆された.そこで平成27年度は,間接的介入によって変化したかかわり環境が重障児の精神状態に及ぼす効果について検討した.間接的介入を継続してきた施設Aの重障児15事例を対象に,日常のベッドサイドにおける精神状態を心拍および瞬目を用いて検討した.療育スタッフが多い日と療育スタッフが少ない日の同じ時間帯でのベースライン測定を比較した結果,生理指標の動態が異なることが明らかとなった.具体的には,療育スタッフが多い場面では平均心拍値が高く,また注意の後に生じるといわれる群発性瞬目の増加を認めた.これらより,周囲の人的環境に対する注意が生じ,このことが覚醒水準の上昇に関わる可能性が示唆された. 以上の検討より,療育スタッフに対する間接的介入が重症心身障害者に及ぼす効果が明らかとなった.
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