2013 Fiscal Year Research-status Report
重症心身障害児者の地域生活における総合的な教育支援体制の構築に関する実際的研究
Project/Area Number |
25381311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
樫木 暢子 愛媛大学, 教育学部, 講師 (10635858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅田 知則 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (40363189)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重症心身障害児の地域生活に関するニーズ / 医療的ケア / コミュニケーション支援 / 支援ネットワークづくり |
Research Abstract |
(1)愛媛県松山市の重症心身障害児のニーズ調査として、保護者の会を対象にアンケート調査を行った。就学前と就学後で共通の課題は医療的ケアを要する子どもたちの日中活動の保障であるが、看護師配置のみならず、教職員の専門性に対するニーズが高かった。結果については発達障害学会(アジア・太平洋発達障害会議)で発表した。この調査結果を基礎資料として、さらに対象範囲を広げたニーズ調査を行うとともに、聞き取り調査を行い、保護者のニーズの背景、必要で実現可能な支援のあり方について検討していく。 (2)医療関係のリハビリスタッフとの学習会を月1回程度開催した。アセスメント結果や療育内容を保護者や学校関係者に伝えるためのツール開発や連携方法について検討を行っている。また、愛媛県重症心身障害児(者)を守る会の巡回療育相談に参加し、在宅生活の状況やニーズを伺った。特別支援学校における訪問教育の研修会講師を年4回、務めた。支援ネットワークの設立に向け、病院、療育機関、福祉機関との連携作りを行うとともに、医療的ケアや健康教育、コミュニケーション支援等についてデジタルコンテンツ化を進めている。保護者からのニーズに応えるべく、教職員の専門性向上に向け、特殊教育学会で自主シンポジウムを企画し、教員養成大学における医療的ケアに関するカリキュラム開発を検討した。 (3)大学のプレールームにおける療育支援を月6回程度実施した。療育に必要な支援機器や玩具等を購入し、コミュニケーション発達や社会性の発達に対する支援を行った。また、支援機器の使用可能性、フィッティング相談等を行った。療育支援を行っているケースについては、学校等を訪問し、学校生活の様子観察、情報交換等を行うことで支援の方向性について共通理解が得られるよう努めた。このような積み重ねを基に支援ネットワークを形成していく基盤を整備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)松山市・東温市における重症心身障害児の地域生活および健康問題(医療的ケア)に関する実態及びニーズ調査については基礎資料となる調査を終えた。訪問教育に関する調査については教員対象の調査を実施し、保護者対象の調査を準備中である。保護者対象の調査については信頼関係構築に時間を要している。 (2)教育、医療、福祉とのネットワーク構築の基盤整備に向け、研修会を月1回程度、公開講座を年6回開催し、相互に情報提供する中で、支援の在り方について意見交換を行っている。インターネットを活用したコミュニケーションシステムづくりに向け、オンライン会議ツールの活用を進めており、ホームページ作成などの準備に入った。ほぼ予定通り進んでいる。 (3)重症心身障害児の発達支援の拠点づくりについてはプレールームを整備し、相談支援機関の在り方を検討している。既に相談支援を開始しており、予定より前倒しで進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)保護者の同意を得られるよう、情報提供や相談支援を続け、調査協力者を増やしていく。 (2)公開可能なデジタルコンテンツが一定数できた段階でホームページを立ち上げる。デジタルコンテンツに関しては公開講座、研修会等の内容を反映させる。双方向性のネットワーク形成に向け、訪問教育を行っている特別支援学校、福祉施設等とシステム構築について検討を行う。 (3)大学での相談支援の受け入れシステムを検討し、関係機関との調整を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
専門的知識の提供について、予定より回数が少なく、予定額を下回った。また、予定していた研究補助員が事情により退職したため、定期的に勤務できる人材を確保することが難しかった。 専門的知識の提供については、年間を通して受けられるよう計画的に執行する。研究補助員については年間契約で適切な人材を確保した。
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