2015 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
25381313
|
|---|
| Research Institution | Fukuoka University of Education |
|---|
Principal Investigator |
大平 壇 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30322283)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一木 薫 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (30509740)
水田 敏郎 仁愛大学, 人間学部, 教授 (00340034)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | 脳性まひ / 視覚 / 階層的複合刺激 / 注意配分 / 実態調査 / 視知覚 / 視覚運動協調 / 構成行為 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
脳性まひ児は，視覚に関わる困難を示すことが指摘されてきた。近年，低出生体重児の増加等を背景に脳性まひ児の発生率も増加しており，古くて新しい問題として注目されてきている。このことから，彼らの視覚に関わる困難（以下，視覚系機能障害）の実態を明らかにすることはその教育的対応上，重要であり，かつ意義が大きい。
本年度は，複数の部分／局所（local）の集まりによって全体／大域（global）が構成される階層的複合刺激（global-local図形）を用い，去年度に引き続き１事例を対象として，刺激属性について刺激の①サイズ（視角），② global レベルにおける偏心度（local 図形の配置の偏心度）とそれらとの③注意配分の関係を検討した。全体的傾向として，これまでから期待されるような条件の影響は明らかには認められず，誤り自体が少なかった。刺激条件をランダム提示したことによって，却って注意配分が条件依存的に偏りにくかった可能性が示唆された。
また，脳性まひ児が実際の学習の場面で具体的にどのような困難を示すのかについて文献にみられる具体的困難の記述を収集し，これをもとに調査用紙を作成，九州の肢体不自由を対象とする特別支援学校すべてに在籍する該当児童生徒の実態について調査した結果の分析を進め，これを研究紀要にまとめた。さらに，この調査を基に作成した困難のリストの各項目の該当率から，視知覚，視覚運動協調，構成行為のどの処理水準の困難がどの程度みられるのかを全国レベルで調査した。
次年度は刺激属性の影響に関する検討に加え，今回の調査結果を分析し，論文にまとめる。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き，実験を実施できる研究協力先を探したが現時点で見つかっていないため，検討項目についての予備的研究を行い，注意配分の影響についての示唆を得た。また，前年度の実態調査を基に，本年度は視知覚・視覚運動協調・構成行為の各処理水準における困難を日常の学習場面の様子から把握できる評価票の作成を目指し，調査対象を全国に広げて調査し，基礎データを得ることができた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
脳性まひ児の視覚系機能に関わる臨床像を明らかにする調査研究を継続し，調査によって得られた実体像から脳性まひ児の示す視覚に関わる困難が，知覚，視覚運動協調，構成行為のいずれの処理水準によるのかを実態把握するための評価票を作成する。同時に，研究協力先を得られれば実験を行う。
|
| Causes of Carryover |
本年度も実験ができなかったため，主に謝金等が未使用であり，調査研究との差額が次年度繰越となった。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
延長申請を行い許可を得たため，引き続き研究協力先を確保し，実験を実施するようにする。
|
