2013 Fiscal Year Research-status Report
小学校入学初期における教科学習を支える認知促進プログラムの開発と検証
Project/Area Number |
25381315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
瀬戸口 裕二 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (50597739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 壽子 お茶の水女子大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10619175)
北村 博幸 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30438072)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学習障害 / 音韻処理 / 認知促進プログラム |
Research Abstract |
研究着手1年目として、必要となる機器及びアセスメント等の資材を用意することができた。研究進捗のための環境整備に努め、予備実験及び研究協力体制を整備・確認することができた。 読み障害のアセスメントにおいては、ELC(Easy Literacy Check)を活用した、学校現場で実施しやすいものを連携して開発検証してきた。また、プログラムの実施状況と評価を行うため、独自の評価シート(筑波・大塚テラー書式を改良)を作成した。このシートは、日によって実施出来たり実施出来なかったりする、現実的なプログラム実施体制の中でも、児童の変容を総体として評価でき、各設問ごとの変容過程を詳細に振り返ることのできるものである。 プログラムの作成については、基礎的な設計を株式会社フロイに委託することができた。しかし、英語版のCOGENTの内、音韻処理に関する作問の日本語単語の選定に時間を要したため、試作版の完成に遅れが生じた。試作版完成後に、動作実験を重ねていく手はずとなっている。 放課後の学習支援では、プログラムの存在が、指導の進行をスムースにしている効果が認められ、わかりやすい課題を繰り返すことで、児童の参加が促進されている報告が得られた。今後は、家庭学習への拡大を予定しており、今年度のプログラムの最終確認に向けた作業を進捗させている。 これまでの成果の一部を、昨年度日本LD学会で報告し、今年度日本教育心理学会で報告の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、大きな設備・備品を伴わない研究であり、消耗品及び必要機器は予定通りに整備することができた。それらを活用したアセスメントについて、研究協力体制を整備することができたため、大学生をはじめとしたスタッフの養成について予定したとおりに行うことができた。大学院を持たない本学の場合は、研究補助者の確保が大きな課題となる。そのため、補助者をも養成する必要があり、初年度として、補助者養成には多くの時間を要した。アセスメント講習や解釈のカンファランス、教材づくりの観点など、具体的な活動を展開してきた。 読み障害に関するアセスメントについて、研究分担者との間で連携を促進することができ、簡便なアセスメント実施の見通しが立った。共同研究者との間で、双方の研究成果をつきあわせた論文の作成にあたることができた。また、本研究に関わる評価シートの独自開発ができたことで、より実践的で、家庭学習の成果等が反映される評価の全貌が見通された。過程で実施出来る簡便さと、学習経過を正確に記録することを両立させることは、本研究の主眼としているところであり、この評価シートの開発は、大きな成果であった。 研究補助者の専門性養成に時間を要したことから、プログラムの作成が予定より遅れているが、設計段階から委託業者と調整をしていたことから、本年度内に進捗を修正することが可能であると見通している。 研究フィールドとの連携は順調に進展しており、現在も日常的にコンサルテーションに参加できている。今後のプログラム活用の準備を待つ段階となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、教育委員会、学校、療育機関等の研究フィールドを活用し、プログラムの検証に重点を置くとともに教育委員会単位で体制づくりが進んでいる海外の情報収集を拡大する。 研究補助者の養成ができたため、現在、小学校の学習支援が開始されている。これら補助者の活動を継続すると共に、紙媒体の教材の活用を開始している。補助者が学校に対して提案型の支援を展開することができていることから、学校の授業との連携が促進されるものであり、研究フィールドの安定性と深化が図られたと考える。今年度、パソコンでの活用が可能となり次第、動作確認と再修正を行う。動作確認は、操作性の向上と課題配列の再検討など、抜本的なものとなることが予測され、より子どもの勝利家庭に即したものとして再検討されるものとなる。これらの成果をもって、今年度中に家庭学習への拡大を図る。過程での実施の予備的な検証に着手し、本研究の基盤を形成する予定である。 また、COGENT及びPREPの海外における現状と課題について、詳細な調査を行う予定である。現在連携しているカナダ及びオーストラリアの実践研究者からの情報提供をさらに促進させながら、日本語版の作成を加速化させることが重要と考えている。 これらの連携をもって、今後の比較研究等の準備を含め、認知処理過程に着目した認知促進の在り方や実際の学校における授業場面への適用などの現実的課題に対応していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助者が小学校の放課後支援に出向く際に、小学校の休業等との調整が困難であったため、予定する訪問ができなかったことにより、残額が生じた。翌年度の活動計画に盛り込んでいる者であり、執行予定は経っている。 研究補助者のプログラム試行のための予算として、執行計画を修正している。補助者の謝金および各訪問回の教材製作費に充てられる。
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Research Products
(2 results)