2013 Fiscal Year Research-status Report
ASD児への養育者による日常的なコミュニケーション支援のための語用論的能力の解析
Project/Area Number |
25381320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
伊藤 恵子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (80326991)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発達障害 / 語用論 / 養育者 / 日常的支援 / コミュニケーション / ASD |
Research Abstract |
本研究においては,ASD児の生活の質(QOL)向上を目指した養育者によるコミュニケーション支援を行うために,日常会話におけるASD児の語用論的能力の特徴の把握と,その関連要因の解明を行うことを目的とした。この目的を達成するために、平成25年度においては、以下の通り、研究を実施した。 1.対象児の発達・認知特性及び他者理解能力等の把握:研究協力いただく2歳から12歳のASD児の発達,認知特性及び他者理解能力等に関するアセスメントを実施した。行動観察、養育者からの聞き取り等によりこれまで得られた情報のほか,新版K式発達検査,ウェクスラー式知能検査,フロスティッグ視知覚発達検査,心の理論課題などを対象児の状態に合わせて利用した。 2.自然発話データの収集:研究協力に同意いただいたASD児の各家庭において,自由遊び場面をビデオカメラ及びICレコーダーに録画・録音した。ASD児と母3組の1時間における自然発話データ (1時間×3組=3時間),及びASD児と母以外のかかわり手3組の1時間における自然発話データ(1時間×3組=3時間)を収集した。 3.自然発話データのデータファイル化:収集した延べ6組の発話データを順次パソコンでCHILDESのCHATフォーマットにより文字化して,音声及び動作とリンクしたデータファイルを作成している。 4.養育者におけるコミュニケーション支援に関するニーズの把握と支援:申請者伊藤が十数年間実施しているASD児とその養育者のグループ活動の際に,養育者に定期的なカウンセリングを実施し,日常のコミュニケーションにおけるニーズを把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の「1.対象児の発達・認知特性及び他者理解能力等の把握」及び「4.養育者におけるコミュニケーション支援に関するニーズの把握と支援」に関しては、予定通り進展している。 「2.自然発話データの収集」に関しては、ASD児と母10組,及びASD児と母以外のかかわり手10組の各1時間における自然発話データ (1時間×20組=20時間)を計画していたが、各3組ずつのデータ収集にとどまった。そのため、「3.自然発話データのデータファイル化」に関しても、収集した延べ6組の発話データを順次パソコンでCHILDESのCHATフォーマットにより文字化して,音声及び動作とリンクしたデータファイルを作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の「1.対象児の発達・認知特性及び他者理解能力等の把握」及び「4.養育者におけるコミュニケーション支援に関するニーズの把握と支援」に関しては、予定通り進展しているが、今後対象児の増加に伴い、新たにこれらの計画を実施しなければならないかもしれない。 「2.自然発話データの収集」に関しては、不足分のデータを収集できるよう、さらに研究協力を呼びかけていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発話データの収集が当初計画の延べ20組を下回り、6組にとどまったため、それに伴う物品費及び人件費等を次年度に使用することとなった。旅費に関しては、年度末の日本発達心理学会発表があったため、次年度の請求となった。 対象児の増加を予定しているため、それに備え、前年度購入予定であったパソコン、ビデオカメラ、ICレコーダー等を物品費で購入予定である。また、発話データ等の入力・分析のための人件費も今年度使用予定である。旅費に関しては、昨年度末の日本発達心理学会発表分も含め、3回の学会発表に伴う旅費を今年度に請求予定である。
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