2014 Fiscal Year Research-status Report
子どものバランス感覚を利用した読み書き困難のスクリーニングと指導法の検討
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25381331
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
野口 法子 関西福祉科学大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80565078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 信良 関西女子短期大学, その他部局等, 名誉教授 (00352980)
三村 達也 大阪産業大学, 教養部, 准教授 (20388359)
安部 惠子 大阪成蹊大学, 教育学部, 教授 (50434874)
三村 寛一 大阪成蹊大学, 教育学部, 教授 (90116179)
鉄口 宗弘 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70397793)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音韻意識 / 重心動揺値 / 発達性読み書き困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どものバランス機能と読み書き困難との関係を立証し、その早期発見と指導方法の開発を目指すことを目的とする。 2013年度では、以下のことが明らかになった①すべての検査項目とも年齢との相関関係が認められたが、分散も大きいことより幼児期の発達過程での個人差の大きさに注目する必要がある。②外周面積は、読み書き困難の基となる音韻意識との相関関係を示した。③外周面積上位群と下位群の比較の結果、音韻意識に有意差が認められ、外周面積上位群の成績が下位群よりも優れていることを示した。④以上のことより、バランス感覚である重心動揺値(外周面積)を読み書き困難のスクリーニング検査の一つとして使用することの可能性が示唆された。 2014年度も同幼稚園にて昨年と同様に検査を実施し昨年度からの要観察者の分析を行った。また、実際に読み書き困難がある小学生の重心動揺値も測定した。その結果以下の点が明らかになった。①昨年度に外周面積が2SD以上または韻意識が1.5SD以下であった20名の者は、本年度では音韻意識では全員が平均以上または1SD以上であった。外周面積(値が小さい方が優れている)でも一人を除き全員平均以下または1SD以下の値を示した。音韻意識・外周面積が1.5SD以上劣っていても1年後には平均前後までに能力が伸びることが示された。②音韻意識と外周面積の偏相関係数は、姿勢制御メカニズムの特殊性により、全体のデータよりも3歳児クラスを除いた場合の相関係数が上がる結果が示唆された。このことより3歳児には重心動揺計を使用しての検査は不適切である可能性がある。③実際に読み書き困難がある者の重心動揺値の詳細は、現在分析中である。 指導法に関しては、拍を取りながら(手を叩きながら)音韻分解していくことを同幼稚園3・4歳児クラスに1日3単語を担任に3週間実施してもらった。その成果は、2015年度の検査の結果で判明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自閉症スペクトラムと読み書き困難が重複している子どものデータは収集することができているが、データ数が少ないこと、純粋な読み書き困難児のデータが収集できていないため2015年度で収集する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は以下のことを実施する。 ①2014年度と同じ幼稚園でデータを収集し、2015年2月・3月に実施した指導(拍による音韻分解)の効果を分析する。 ②発達性読み書き困難児の重心動揺値(総軌跡長・外周面積・動揺中心変位・ロンベルグ率・速度スペクトル)を計測し検討する。 ③遊びの中に組み込んで行くことができる音韻意識向上プログラムの検討を行う。
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Causes of Carryover |
2015年度も研究継続のため、物品購入・旅費が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プリンター・検査用具・書籍等の購入、データ収集時の謝金、論文抜刷費、データ収集・論文発表のための旅費等に使用する。
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Research Products
(2 results)