2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25390006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水上 雅史 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60333902)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / 固体潤滑 / 接着 / 摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者等が開発してきた共振ずり測定法は、空気中で表面が離れた状態 (摩擦力なし) での共振カーブ (空気中分離)、および雲母表面が接触して滑りが無い状態での共振カーブ (雲母接触) を基準として、固体表面間に液体が存在する状態での共振カーブを解析し、液体ナノ薄膜の物性、摩擦・潤滑特性を定量評価できる。本申請研究では、共振ずり測定法により、固体潤滑(高粘度潤滑剤、高分子・無機材料固体など)の評価を可能とするための装置・測定法の高度化を行うことを目的としている。 昨年度までに、計画に従って装置の改良、動作確認、共振カーブデータの物理モデル解析の精度向上のためのパラメータの実測、摩擦力・せん断振振幅・せん断速度を求める方法の提案を進めてきた。本年度は、具体的に固体材料表面の摩擦評価を実施した。具体的には、高分子ハイドロゲルの一つで、非常に高い機械的強度をもつことから様々な応用が期待されているDN (ダブルネットワーク)ゲルと、石英球間の摩擦を共振ずり測定法により評価した。高分子ハイドロゲルは非常に低い摩擦を示すものがあることが知られているが、従来の摩擦力測定は、元来、ゲルが壊れ易いために、応力集中による破壊を避ける平面同士での測定に限られ、摩擦力の大小は表面間の相互作用力が引力か斥力かによって説明されていた。ただし、実際の潤滑材料として用いる場合に考慮する必要がある接触部の変形の寄与については調べられていなかった。共振ずり測定法、および得られた共振カーブの解析より、DNゲルと石英球の摩擦には、DNゲルの接触変形、特に弾性項の寄与が支配的であることが明らかとなった。また、水の添加による潤滑性向上についても確認できた。本研究により、ゲルの摩擦を理解するためには弾性変形の効果を考える必要があり、潤滑材料の設計において重要な要素とであることを示すことができた。
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Research Products
(14 results)