2014 Fiscal Year Research-status Report
液中レーザーアブレーションによる蛍光ナノ粒子形成の機構解明と医工学応用
Project/Area Number |
25390014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 裕之 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00422527)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 液中レーザーアブレーション / アップコンバージョン / ナノ粒子 / 光線力学的療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「液中レーザーアブレーションによるナノ粒子生成メカニズム解明」と「生成ナノ粒子のバイオメディカル分野での応用」を目指して研究を推進してきており、昨年度は下記の項目が明らかになり、論文等で報告を行った。 (1)微細ナノ粒子の生成メカニズム:液中レーザーアブレーションでは粒径数百nm程度の「粗大ナノ粒子」と粒径十nm程度の「微細ナノ粒子」が生成する。粗大ナノ粒子は、レーザー照射で発生する衝撃波等による生成を示唆する結果を示してきたが、微細ナノ粒子の生成は不明であった。今回、微細ナノ粒子が高い結晶性を有し、ドーパント(賦活剤、増感剤)も蒸発せずにナノ粒子内に存在し、ターゲットと同様の光学特性を示すことが明らかになり、液相過程を経た生成メカニズム等を提案した。 (2)ナノ粒子のがん治療への応用:低侵襲性がん治療法の1つである光線力学的療法(PDT)において、大きながんや深部のがんが治療できない等の課題を解決するためにアップコンバージョンナノ粒子の利用が期待されている。今回作製した高結晶性アップコンバージョンナノ粒子と近赤外光照射を組み合わせることによりがん治療が可能であることを、肺がん細胞を用いた培養細胞実験で示した。 (3)光感受性物質のコーティング:上記がん治療の効果を高めるには、アップコンバージョンナノ粒子からの発光を光感受性物質に効率的に照射する必要があるため、光感受性物質をアップコンバージョンナノ粒子に表面コートする研究を進め、ナノ粒子表面にメチレンブルーとフタロシアニン亜鉛をコートすることに成功した。 (4)生体親和性物質のコーティング:生体適合性が高いことで知られているポリエチレングリコール(PEG)でアップコンバージョンナノ粒子をコートするために、シランカップリング剤とスクシイミドの反応を利用してPEGコートすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した大きな2つの目標である「液中レーザーアブレーションによるナノ粒子生成メカニズム解明」、および、「生成ナノ粒子のバイオメディカル分野での応用」をほぼ達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目標はほぼ達成したが、「生成ナノ粒子のバイオメディカル分野での応用」に関してはまだ向上の余地があり、更に高いがん治療の効果を得るために、アップコンバージョンナノ粒子の発光効率の向上等の研究を推進する。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、当初計画した大きな2つの目標である「液中レーザーアブレーションによるナノ粒子生成メカニズム解明」、および、「生成ナノ粒子のバイオメディカル分野での応用」をほぼ達成したため使用金額が減った。これと同時に、「生成ナノ粒子のバイオメディカル分野での応用」に関してはまだ向上の余地があることが平成26年度末に明らかになり、平成27年度は、これらを集中的に研究するため使用金額が増えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「生成ナノ粒子のバイオメディカル分野での応用」に関して、更に高いがん治療の効果を得るために、アップコンバージョンナノ粒子の発光効率の向上等の研究を推進する。効率向上の方法としては、アップコンバージョン材料をフォノンエネルギーが低いGd2O3等に変更したり、濃度消光の影響を考えてドーパント量を変更したりする計画である。
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Research Products
(19 results)