2015 Fiscal Year Research-status Report
単結晶ナノ粒子生成容器としてのタンパク質構造の最適化
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25390020
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉村 英恭 明治大学, 理工学部, 教授 (70281441)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 強磁性体 / フェリチン |
Outline of Annual Research Achievements |
中空構造のタンパク質の空洞中に無機物の結晶を成長させることにより、大きさがそろったナノ粒子を作ることができる。このようにして作製したナノ粒子はタンパク質が外側を覆っていることにより水溶液中で安定に分散する。これまでフェリチンと呼ばれるタンパク質を用いて半導体、金属、磁性体のナノ粒子を作製してきたが、ナノ粒子の結晶構造を制御することは困難であった。当該研究では、フェリチン分子中のL型とH型サブユニットの数を制御したり、サブユニットのアミノ酸配列を改変したりすることにより、結晶核の生成を制御し単結晶のナノ粒子を多く合成できるようにすることを目指している。今年度は一昨年度在外研究で当該研究を一時中断していたので、再開のための基本的な実験の再現性に多くの時間をさいた。嫌気的条件でのL-リコンビナントフェリチンによるフェライトナノ粒子の作製を確認し、磁性ステンレスパウダーを用いたナノ粒子の効率のよい精製方法を開発した。また、H型フェリチンとL型フェリチンを同時に発現させるプラスミドの設計を行った。 フェリチンを用いない従来利用されてきた共沈法によるフェライトナノ粒子の作製を行いフェリチンにより合成したナノ粒子との比較を行った。フェリチンにより合成したナノ粒子は水溶液中に長期間安定(1ヶ月以上)に分散するが、共沈法によるナノ粒子は数時間で会合することがわかった。また、合成されたナノ粒子はフェリチンの場合6±1nmに収まっているのに対し、共沈法ではマイクロメートルからナノメートルまでかなり大きく分布し、フェリチンによる合成が優れていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度、明治大学の制度である在外研究によりアメリカで研究活動を行ったため研究室を1年間閉じたので液体クロマトグラフィー、遠心機、分光光度計などが長期間の停止で次々修理の必要に迫られ時間を取った。また、新しく入った研究室の学生も生物系の実験は初心者であるため、指導に時間がかかり本格な実験にとりかかるのが遅れた。昨年度は主にこれまでの基本的な実験の再現性に多くの時間をさいた。今年度からは本格的な研究に入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は以下の様な手順で研究を進める。 1.HフェリチンとLフェリチンを同時に発現させる 2. Lフェリチンにより作製したナノ粒子の磁気的性質ど結晶性について比較する 3. 高周波磁場中での発熱を2の試料について調べる 4. 1の試料について結晶性と磁気的性質を調べる
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Causes of Carryover |
一昨年度、明治大学の制度により在外研究を行い研究をアメリカで行ったため直接経費の支払いがなかった。そのため研究計画は順延となり1年の延長を行うことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は平成26年度、平成27年度の研究計画を遂行する
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Research Products
(4 results)