2013 Fiscal Year Research-status Report
強磁性金属内包カーボンナノチューブによる機能性繊維の作製
Project/Area Number |
25390030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐藤 英樹 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40324545)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄内包カーボンナノチューブ / 化学気相成長法 / フェロセン / 磁気特性 / カーボンナノチューブ繊維 |
Research Abstract |
本研究では,磁気特性に優れた鉄(Fe)内包カーボンナノチューブ(CNT)を高効率かつ制御性良く生成し,これを各種磁気応用に供することを目的としている。平成25年度は,Fe内包CNTの磁気特性制御を目標として,以下の項目について研究を実施した。 ① 触媒金属(Fe)への水素プラズマ処理依存性:基板上に形成するFe薄膜(触媒薄膜)にあらかじめ水素プラズマ処理を施すことにより,成長する鉄内包CNTの直径や長さなどのサイズが増加することが確認された。これは,Fe薄膜への水素プラズマ照射により鉄薄膜の微粒子化が促進され,微粒子サイズが増加することによる効果であることが明らかになった。これにより,これまで困難であった鉄内包CNTのサイズ制御の実現が期待される。 ② Fe内包CNT成長の金属薄膜種依存性:従来触媒金属として用いていたFe薄膜以外のNi,Al,Ptなど各種薄膜を基板上に形成し,この薄膜上での鉄内包CNTの成長特性を調べた。その結果,NiおよびAl薄膜では比較的高効率にFe内包CNTが成長することが確認された。Ni上で鉄内包CNT成長が行えることは,Fe-Ni合金内包CNT成長を行う上で有利であると考えられる。一方,金属薄膜無しの場合,すなわちSiO2基板表面上でも鉄内包CNTが成長することが確認された。これはFe内包CNTの大量合成を行う上で有利である。 ③ 各種CVD条件が磁気特性に与える影響:本研究ではこれまで,フェロセン導入量を制御することにより鉄内包CNTの成長形態ならびに磁気特性が大きく変化することを確認している。フェロセン導入量を減少させると,CNTの成長量は減少するものの,その直線性が向上することが確認された。詳細について引き続き検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Fe内包CNT成長形態制御,ならびに成長量については,これまでの研究結果より多くの知見が得られているが,その磁気特性(保磁力)については,未だ目標値には到達していない。保磁力の向上と成長形態制御の両立が次年度の課題である。 保磁力の向上のためには,CNT内に内包されるFeの結晶構造を制御すること(炭化物の低減),ならびに結晶方位をCNT軸方向に揃えるよう制御する必要があることが示唆されている。CNT内包Feの結晶状態制御の実現が保磁力制御の上で不可欠である。 なお,当初予定していた新規CVD装置製作については,現状では現有装置で研究を実施する方が研究遂行上有利と判断し,今期は実施しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の事項を踏まえ,次年度は,以下の2点に注目して研究を実施する。 (1)Fe内包CNTの保磁力のさらなる向上(2.0 kOe以上):プロセス条件制御による炭化物生成の抑制,異種金属とFe薄膜の積層化による内包鉄の結晶性制御,Feと他金属の合金化,の研究を順次実施する。 (2)Fe内包CNT繊維の紡績:CNTを束ねた繊維形成,およびCNTシート形成を目的として,機械的手法による紡績法,電気的・磁気的方法によるCNT配向の実現と紡績を順次実施,鉄内包CNTの繊維形成を目指す。
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