2014 Fiscal Year Research-status Report
電解析出法による強度・延性バランスに優れたバルクナノ結晶Fe合金の創製
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25390031
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
瀧川 順庸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70382231)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バルクナノ結晶材料 / Fe-Ni合金 / 電解析出法 / 高強度 / 高延性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fe-C-Ni合金について検討した。C源としてプロピオン酸添加が最適であることが前年度の研究で明らかになっていたため、プロピオン酸を添加した電析浴組成の最適化を行った。得られた浴を用いて、様々なC濃度の結晶粒径が約15nmのバルクナノ結晶Fe-C-Ni合金を作製した。その結果、FCC構造のNi含有量が40at%の合金において、C濃度の増加に伴い強度が上昇する結果が得られた。得られた試料の硬度、最大引張強度、破断伸びは、それぞれ413~515 HV、1.6~1.8 GPa、10~12 %であった。しかしながら、FCC合金においてはCの共析量は少なく、Cの固溶強化では説明できなかった。熱処理による強度変化を調べた結果、200℃、2 hの熱処理により、プロピオン酸を添加しないFe-Ni合金とプロピオン酸を添加したFe-C-Ni合金の強度は同等になった。この結果から、プロピオン酸添加がより安定した初期粒界構造をもたらすことで強度向上が生じたと結論づけられた。 Mnを添加したFe-Ni合金についても検討した。塩化マンガンを含む新たな電析浴を用い、試料を作製した。その結果、試料中のS含有量が30%低減し、伸びが約18%にまで増加した。 さらに、Fe-Mn合金の作製にも着手している。 今後は、Fe-Mn合金あるいはFe-Mn-Ni合金について組成の最適化を行うとともに、窒素バブリング浴での電析、窒素を含む添加剤による電析を検討し、N添加量制御を計り、薄膜による微細組織、構成相の評価を経て、バルク体の作製、評価を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電析浴の最適化により、強度1.6GPa、伸び18%を示す、強度・延性バランスに優れたバルクナノ結晶Fe-C-Ni合金の開発に成功しているとともに、Fe-Mn合金も作製の目処が立っており、おおむね平成26年度の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度と同様に、Fe-Mn、Fe-C-MnあるいはFe-Mn-NI、Fe-C-Mn-Ni系合金のバルクナノ結晶材料の作製条件の検討を続けるとともに、こららの合金についても強度と延性の関係について調べ、強度・延性バランスの基礎データを得る。さらに、Nを含む合金の作製プロセス検討にも着手する。FeあるいはFe-Cに対して窒素バブリング浴での電析、窒素を含む添加剤による電析を検討し、N添加量制御を計り、薄膜による微細組織、構成相の評価を経て、バルク体の作製、評価を行っていく予定である。
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