2014 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン上への触媒単原子・クラスターの合成と電子顕微鏡を用いた解析
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25390035
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
橋本 綾子 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主任研究員 (30327689)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 触媒ナノ粒子 / その場観察 / カーボン担持体 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球規模の環境問題やエネルギー問題の解決策として、近年、触媒技術が再注目されている。触媒は、従来から他分野において、反応の促進という重要な役割を担ってきた。特に、貴金属触媒は、石油精製、ファインケミカル、排ガス処理などの広範囲な分野で使用され、工業的重要性が非常に高い。しかしながら、資源として非常に希少で、高価であるため、使用量を低減化させる技術などの研究や開発が盛んに行われている。そこで、本研究では、触媒の使用量低減のために微細化-ナノ粒子やクラスター化された白金触媒の構造やその触媒反応特性との関係を理解するために、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた分析・解析を行う。 今年度は、特に、反応過程の基礎的な理解を深めるために、ガス雰囲気で加熱ができるTEM試料ホルダーを開発し、グラフェン上の分散させた白金ナノ粒子のその場TEM観察を行った。差動排気効果を利用して、1X10-4 PaのTEM内でも、試料近傍を1 Pa雰囲気にして観察することができた。白金ナノ粒子がグラフェン表面上をエッチングする現象(チャネリング現象)を0.5 Pa空気雰囲気、 400 oC以上で観察することができた。温度が上昇するとともに、チャネリング速度は増大することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、その場観察のためのTEM試料ホルダーの開発に問題が生じて、遅れを取ったが、今年度は前半には出来上がり、実際にその場観察を行えるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、開発したTEM試料ホルダーを用いて、ガス雰囲気中、高温下でのグラフェン上の分散させた白金ナノ粒子の挙動を観察した。触媒反応過程や劣化過程を解明するため、今後も、作製した触媒複合体のさらなるその場観察とその解析を行う。特に、反応中のグラフェン担持体の変化、触媒ナノ粒子、クラスターの動的挙動をTEMを用いて調べる。また、他のカーボン担持体や触媒についてもその場観察を行い、比較検討を行う。これら結果から、触媒活性サイトやメカニズムについて考察していきたい。
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Causes of Carryover |
昨年度に問題が生じたその場観察のためのTEM試料ホルダーの開発の遅れが、今年度の予算使用額にも影響した。しかし、昨年度に比べ、使用計画との差は少なくなり、今年度としてはおおむね、予定通りの使用であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
グラフェン以外のカーボン構造体や触媒試薬、TEM観察試料を作製するための器具を購入する予定である。
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