2013 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質超分子機械のダイナミック構造変化イメージング
Project/Area Number |
25390037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 京都大学, 白眉センター, 准教授 (10346075)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノバイオ / 分子モーター / 分子機械 / 高圧力 / 水和 |
Research Abstract |
本研究課題では、水と相互作用することで生み出されるタンパク質の高次構造形成のメカニズムを明らかにすることを目的として、ダイナミックに変化する大腸菌べん毛の超らせん構造変化を可視化する研究に取り組んだ。研究代表者がこれまで行ってきた実験から、高圧力下では大腸菌はべん毛モーターを停止させることなく遊泳運動を停止することが示されている。平成25年度は、大腸菌べん毛モーターの発生トルクを遊泳運動へと変換するべん毛の超らせん構造を直接観察する研究を行った。べん毛モーターからトルク発生部位(固定子)を欠失させた変異株を培養し、菌体およびべん毛繊維を蛍光色素(Alexa532)で化学修飾した。研究代表者がこれまで開発してきた高圧力顕微鏡を用いて、様々な圧力下でべん毛繊維の共焦点像を観察した。常圧力(0.1 MPa)では、全てのべん毛繊維は、Normalと呼ばれる超らせん構造をとっており、反時計方向に回転するべん毛繊維を束化して推進力を発生させるのに適した形状であった。それに対して、菌体が遊泳運動を停止する80 MPaでは、Normal型のべん毛繊維はほとんど見られず、代わりにCoiled coil, もしくはcurly I (or II)と呼ばれる遊泳運動には適さないらせん構造が多数観察された(現時点の分解能では、curly IとIIは見分けることが困難である)。したがって、べん毛繊維の構造変化が、高圧力下で大腸菌が遊泳運動を停止する主な原因として考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究では、べん毛繊維の多型変化は、溶液のpHやイオン強度を変えることで観察されてきたが、複数ある遷移状態間の自由エネルギー差などの議論はできなかった。高圧力研究の持ち味を生かせるように今後も研究に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧力下で観察されたべん毛繊維の多型変化のメカニズムをより詳細に明らかにできるように、装置改良を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高圧力装置の納品が遅くなったので、納品を次年度に繰り越したため。 繰り越し分については高圧力顕微鏡の装置開発に使用する。
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