2014 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質超分子機械のダイナミック構造変化イメージング
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25390037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 京都大学, 白眉センター, 准教授 (10346075)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノバイオ / 分子モーター / 分子機械 / 高圧力顕微鏡 / 水和 / べん毛繊維 / 超らせん構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、水との相互作用により生み出されるタンパク質の高次構造形成のメカニズムを明らかにすることを目的としている。これまでの取り組みにより、高圧力下で大腸菌べん毛繊維を観察したところ、超らせん構造が大きく変化することを明らかにできた。平成26年度は、1) 高圧力顕微鏡の改良を行い、2) 超らせん構造が変化する瞬間をとらえることで、構造変化を引き起こす分子機構を調べる研究を行った。1) これまでの装置では、高圧力チャンバー内部において水溶液サンプルの厚みが大きく、落射蛍光像の取得時に不必要にバックグラウンドを高くする問題を抱えていた。そこで、高圧力チャンバー内部において光軸方向の厚みを小さくすることでバックグラウンドを低減させた。さらに、通常のファイバー経由ではなく、レーザー光を直接共焦点スキャナ(CSU10, 横河電機)に入射させることで、べん毛繊維の共焦点蛍光像を取得することに成功した。2) これまで高圧力下で観察してきたNormal, Coiled coil, Curlyの3つの状態について、状態遷移がどの程度の時間スケールで生じるのか調べた。80 MPaでべん毛繊維の超らせん構造を観察していた際、Coiled coilから、curlyへと0.1秒以内に超らせん構造が変化する様子を捉えることに成功した。おそらく、圧力変化直後の段階では、余剰エネルギーが分子構造内部にひずみの形で蓄えられており、そのエネルギーがあるきっかけを境として解放されてしまい、ドミノ倒しのようにプロトフィラメント間の結合位置を変えてしまったのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高圧力顕微鏡の改良に成功し、従来よりも蛍光観察時のバックグラウンドを低減させることに成功した。これにより、べん毛繊維の超らせん構造を鮮明に観察することに成功し、超らせん構造の変化が一気に生じることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も高圧力顕微鏡の耐圧性能を維持しつつ、光学特性を改良に取り組む。これにより、水和によりもたらされる分子構造変化を高感度に検出できる実験系を開発する。
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Causes of Carryover |
高圧力顕微鏡の光学性能を改善させるために発注した部品の納期が遅れてしまい、納品を次年度に繰り越したから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の4月か5月には納品をすませ研究に取り組む。
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Research Products
(16 results)