2014 Fiscal Year Research-status Report
人工ピンの分子ドーピングと結晶化制御による高機能超伝導薄膜ナノエンジニアリング
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25390054
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
喜多 隆介 静岡大学, 工学研究科, 教授 (90303528)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超伝導 / 酸化物 / 薄膜 / 有機金属塗布法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、酸化物高温超伝導体薄膜の電流輸送特性の高特性化を目指して、フッ素フリー有機金属塗布法(FF-MOD法)を用いて人工ピンドーピングのための希土類元素添加効果、およびREBCO薄膜においてREである希土類を2種類とした希土類元素混晶化効果について研究を行った。まず、添加用希土類元素としてHoについて検討した。HoをGdBCOに対して1-10mol%添加したところ、3-5mol%添加により超伝導相の結晶化に対して顕著な促進効果が見られた。また、薄膜表面の平坦性や充填率の向上についても効果が見られた。また、Ho5mol%添加により臨界電流密度が1.7倍に向上し、磁場中の輸送特性の指標であるアルファ値も低い値を示した。また、Hoに加えて同時にZrを1mol%添加したところ、臨界電流密度やアルファ値の改善に効果が見られた。(Gd,RE)BCOにおける希土類混晶化効果について、REとしてDyとSmについて調べた。その結果、Dyを20%から80%混晶化することにより安定して1MA/cm2以上の高い臨界電流密度を有する薄膜作製が可能であることが明らかとなった。また、Smを30%混晶化した超伝導薄膜において結晶配向性の向上が明らかとなった。さらに26年度は超伝導薄膜の厚膜化について予備的な実験を進めた。その結果、通常のFF-MOD法に加えて、液相を用いた薄膜形成法を用いることにより臨界電流特性を維持したまま、約2倍の厚膜化に成功した。次年度はこの新規な方法についても引き続き検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的であった溶液法を用いた超伝導薄膜のナノエンジニアリングにおける人工ピンドーピングについて研究を進め、超伝導特性向上に対して2種類以上の希土類を混晶化することにより超伝導特性、特に電流輸送特性が向上することを明らかにし、また再現性向上に効果のある希土類元素について明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は新たに超伝導薄膜の厚膜化について予備的な実験を進めた。その結果、液相アシスト有機金属塗布法の可能性を新規に見出した。本方法は、超伝導薄膜の高特性化に大きく貢献できる方法であると考えられるので、次年度は、本方法の基礎検討を進めつつ、超伝導薄膜の更なる高特性化とナノ構造解析に加えて注力したい。
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Causes of Carryover |
前年度末、新たな研究成果が出たため研究発表のため旅費として100,000円を前倒し請求した。2055円は旅費清算後の残額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前倒し請求分の残りであるので、今年度旅費に充当する予定である。
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Research Products
(6 results)