2014 Fiscal Year Research-status Report
マグノニクスのための超短磁場パルス発生によるスピン波励起
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25390057
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
長島 健 摂南大学, 理工学部, 准教授 (60332748)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピン波 / テラヘルツ波 / マグノン |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ領域の高周波数スピン波発生法として光パルス誘起近接磁場パルスを用いた新規機構を提案・開発している. まず年度当初,研究代表者の異動のために実験装置を移設した.その後,装置の確認のために従来使用していたテラヘルツ放射分光システム(垂直入射光パルスにより励起-透過方向放射テラヘルツ波を観測)を再構築し,MnOからのテラヘルツ波放射を測定した. 続いてH27年度に予定している強磁性体スピン波検出のために,テラヘルツ放射分光システムの時間遅延部分を1.6 mまでに延長した.これにより GHz程度の低周波数をスピン波を検出できる. さらに入射角45度光パルス照射して反射方向に放出されるテラヘルツ波を観測するシステムを構築した.(励起光パルス進行方向と観測されるテラヘルツ波の方向は直交する) 試料は機械式冷凍機で5 Kまで冷却できる. 一方,H27に大きな磁場パルスを発生すると期待される磁性体基板上にPLD装置を用いてNiO等の反強磁性体膜を作成する予定であった.しかしながら【現在までの達成度】に示した理由のためにPLD装置が利用できなくなった.そこで薄膜と基板の関係を逆にし,NiOあるいはMnO等の反強磁性体のバルク単結晶基板の上に,PLD装置を用いずに作製でき,かつ大きな磁場パルスを発生すると期待される磁性体薄膜を成長する.この薄膜を光パルス励起することで生じた近接場磁気パルスにより基板側界面近傍のテラヘルツ帯スピン波の励起を試みる.磁性体薄膜としてはまずイットリウム鉄ガーネット(YIG)を作製することとした.この薄膜は前駆体を含む有機溶媒をスピンコーターによって塗布後に焼成することで作製できる.本年度はこのためのスピンコーター及び電気炉を設置した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動のためにやや遅れている.本研究のNiO薄膜を作製するために,異動元のPLD成膜装置を引き続き利用する予定であったが,受け入れ者の逝去により使用不能となった.そこで【研究実績の概要】で示したように塗布法による磁性体膜の作製に変更した.
異動後の実験装置の構築は概ね完了したが,測定自体は未達である.以上の理由により<やや遅れている>という判定となった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,まず塗布法によるYIG薄膜の作製に取り組む.従来用いられているGGG基板上に作製する.H26年度に構築した長距離時間遅延システムを利用した光ポンプ-光ファラデー回転検出法を構築し,これによってスピン波を検出し品質を確認する.得られた作製条件を元にNiO及びMnO単結晶基板上にYIG薄膜を作製する.この塗布法によってYIG以外の磁性体膜の作製が可能かどうかも調査する.
作製した試料について,磁性体薄膜側に入射角45度光パルスを照射した後に生じるテラヘルツ波放射を観測する.磁性体薄膜によるスピン波振幅の増強の有無を確認する.
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Causes of Carryover |
異動による研究の遅滞にともない,海外渡航を中止したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年8月に開催される韓国にて開催される国際会議の参加費及び渡航費用に使用する.
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Research Products
(3 results)