2014 Fiscal Year Research-status Report
変調フラックス蒸着法と放射光解析法を利用した不純物ドープ有機薄膜太陽電池開発
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25390063
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
櫻井 岳暁 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00344870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 電子状態制御 / 不純物添加 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、アクセプタ材料C60に対するドーパントとしてCaが有効であることを見出した。本年度は、ドナー材料SubPcに対する有効なドーパントの探索を行い、MoO3が有効なドーパントであることを見出した。ただし、C60:Caの組み合わせと比較して、SubPc:MoO3の組み合わせでは大幅な導電率の向上が見られなかった。その原因として、(1)SubPcはC60と比較して結晶構造に異方性があり、少量の添加でも結晶構造の乱れが生じる(放射光X線回折にて確認)。(2)SubPcはバンドギャップ内にTail Stateが多数存在するため、導電性の向上に多量の不純物添加が必要となる(光電子分光より推測)。という理由が考えられた。この(1)と(2)はトレードオフの関係にあり、少量の不純物添加では電気的活性化が十分行われず、一方多量の不純物添加では、結晶構造の乱れにより電気特性が劣化することを示唆している。なお、最適なモル比(MoO3/SubPc)は0.7であった。 得られた結果をもとに、太陽電池を作成したところ、MoO3をモル比0.7SubPcに添加したSubPc/C60ヘテロ構造太陽電池にて、変換効率が35%程度向上した(無添加1.4%→1.9%)。一方、これよりドープ濃度を上昇させた場合、主に開放起電圧の損失が増えることを確認した。この損失は、SubPcの結晶構造の乱れに伴いトンネル再結合(暗電流上昇)がヘテロ界面で支配的になるためと理解した。不純物添加によるさらなる太陽電池特性の向上のためには、SubPcのHOMO-LUMOギャップ内に存在するTail Stateの理解が不可欠と結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドナー、アクセプタそれぞれに対する有効なドーパント材料を見出し、太陽電池特性の向上でそれを実証した。ただし、不純物添加に対する改善効果はドナー材料、アクセプタ材料で異なっており、この原因について物理機構が明らかになったわけではない。
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Strategy for Future Research Activity |
不純物添加と電気的活性化の相関について理解するためには、電子状態に関するより詳細な検討(特にTail State)が必要である(例えば、Selina Olthof et al., Phys. Rev. Lett. 109, 176601 (2012)).不純物添加に関する広い理解を得るため、異なる材料に対する不純物添加試料の光電子分光研究を推進する。
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Causes of Carryover |
当初行う予定だった出張計画にずれが生じたのと、その分を2015年度に行うプリンストン大Antoine Kahn研との共同研究に充当する方が、より研究進展が見込めると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度にプリンストン大Antoine Kahn研との共同研究を行う予定であり、その旅費に使用。
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[Journal Article] A new anodic buffer layer material for non-mixed planar heterojunction chloroboron subphthalocyanine organic photovoltaic achieving 96% internal quantum efficiency2015
Author(s)
Chi-Feng Lin, Shun-Wei Liu, Chih-Chien Lee, Takeaki Sakurai, Masato Kubota, Wei-Cheng Su, Jia-Cing Huang, Tien-Lung Chiu, Hsieh-Cheng Han, Li-Chyong Chen, Chin-Ti Chen, Jiun-Haw Lee
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Journal Title
Solar Energy Materials and Solar Cells
Volume: 137
Pages: 138-145
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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