2013 Fiscal Year Research-status Report
量子測定を応用し、バイオ・有機材料に特化した透過電子顕微鏡の開発
Project/Area Number |
25390083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
岡本 洋 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (70455799)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電界放射 / エンタングルメント / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の研究計画調書では、平成25年度の研究は以下のように計画していた。①電界放射型電子銃および電子検出器を製作する。②各電子光学部品に要求される設計仕様を理論的に明らかにする。③電子レンズ系の組み立て、テストに進む。以下、これらの点について進捗をご報告する。 ①電界放射型電子銃および電子検出器の製作について:この項目については研究目的を充分に達成した。0.1mm径のタングステンワイヤをKOH溶液でエッチングするためのエレクトロニクス回路はY. Nakamura et al., Rev. Sci. Instrum. 70_, 3373 (1999)を参考にして既に自作してあった。このたびは、当該エッチング装置で作成した先端を尖らせたチップを走査電顕で観察することを繰り返し、エッチング条件を得た。また、当該チップをタングステンヘアピンワイヤにスポット溶接するための機械治具を設計、製作した。(スポット溶接機は市販のものを保有している。)この治具により実際にスポット溶接した電子銃を真空チェンバーに導入し、高電圧を印加して実際にフィールドエミッションをP43蛍光版により確認した。本部分については金澤里花氏の貢献が大きい。 ②各電子光学部品に要求される設計仕様の理論的検討について:本年度は、理論面では予想していない進展があった。これまでの計画では量子ビットとしてクーパーペア箱を使用することを想定していたが、rf-SQUIDの方が様々な理由でより適していることがわかってきた。(本成果は学術誌に出版された。)よって、細かい理論検討はまた最初に立ち戻って始める予定である。 ③電子レンズ系の組み立て、テストの実施について:上述の理論面での展開により、電子レンズ系は設計からやり直しとなった。なお、その準備として真空チェンバーにイオンポンプを取り付けるべく、クレーンの購入・組み立てなどを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたとおり、理論面で予想していない展開があり、その意味で予定の軌道からは外れている。ただし理論面では、これまで提案していた仕組みより優れたスキームが提出されたので、ある意味で予想以上に順調であるともいえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況に基づき、以下を進める所存である。 ①理論面で、新しいrf-SQUID量子ビットを使用した、より優れていると思われるスキームが提案されたため、これを更に詳しく検討する必要が出てきた。 ②実験面では、イオンポンプをインストールさせて電界放射電子銃をより安定の動作させる。また、冷凍機を購入してこれをインストールするための設計に取り掛かる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次の理由による。 ①「研究実績の概要」で述べたとおり、理論面で大きな進展があり、電子光学系は設計から再検討しなければいけないため、組み立てを遅らせる必要があること。 平成26年度予算の大きな部分は4K GM冷凍機の購入に使われる予定である。
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