2014 Fiscal Year Research-status Report
量子測定を応用し、バイオ・有機材料に特化した透過電子顕微鏡の開発
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25390083
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
岡本 洋 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (70455799)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電界放射 / エンタングルメント / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の交付申請書では、平成26年度の研究は以下のように計画していた。①電子レンズ系と電子ミラー系を動作させ、理論と実験が一致するか調査する。②コントロールできない静電荷が存在しているとき、対策をする。③電子ミラーを極低温化するための装置設計を行い、GM冷凍機を購入する。平成25年度分の報告書に記した通り、理論面で予想していない進展があり、電子ミラー上の静電量子ビットを使うよりも磁気的量子ビット(rf-SQUID)を使う方がより実用的であることが分かってきた。そこで、上記の項目②は実施の必要がなくなり、項目①については、むしろ磁気的量子ビットの電子光学的特性を明らかにすることがより重要な課題①Bとなった。 前述の課題①Bとしては、現在磁気的量子ビットに起こりうる様々なエラー要因を数え上げ、エラーの程度を理論的に見積もった。これを原稿にまとめ、当面プレプリントとして公開しており、近く査読付き学術誌に投稿予定である。 課題③に関しては、磁気的量子ビットについてもやはり冷凍が必要であることから、冷凍機のインストールを進めている。(最終的には希釈冷凍機温度が必要であるが、4K程度で様々な予備実験を行う予定である。)冷凍機はGM型よりも振動の小さなパルスチューブ型を購入した。今後、冷凍装置現物に合わせて、これを支える機械構造及び真空接続部品を設計する。 この他、電界放射電子銃の動作を安定させるための超高真空化を進めており、イオンポンプのインストールと最初のベーキングを完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度分の報告書で述べたとおり、理論面で予想していなかった展開があり、電子ミラーを使わずに磁気的量子ビットに乗り換えた経緯がある。このことにより新たな理論研究も必要になった。 予想していない展開にもかかわらず、実験装置の超高真空化、冷凍機のインストール準備などの“インフラ整備”はおおむね予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
①現在評価しているrf-SQUID量子ビットにおけるエラー解析を完了させる。 ②rf-SQUIDによらない、より短期間に実用可能な磁気的量子ビットのスキームを設計する。 ③4Kの極低温領域の試料と電子ビームとの相互作用の計測に向けて、パルスチューブ冷凍機のインストールを行う。
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Causes of Carryover |
パルスチューブ冷凍機の納入に伴い想定と異なる状況が発生し、次の設計ステップに進むのが遅れたこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前記冷凍機を機械的に支えるための構造物の費用の一部として使う予定である。
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Remarks |
特になし。
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